政府は、成長戦略など重点政策に予算要求できる3兆円の特別枠を設ける。まず、高齢化による医療、介護、年金など社会保障費の自然増加分である約1兆円をまかなうため、国の政策経費のうち公共事業などの裁量的経費を2013年度予算13.2兆円に比べて10%程度のカットを求め、約1兆円を確保する。各省庁は10%カット後の裁量的経費を基礎額として、基礎額の1.3倍まで重点分野として要求できる。この要望枠は3兆円を超える見通しで、予算編成が本格化する秋以降に精査し、1兆円分を首相特別枠として設ける構想。
首相特別枠の最終決定は、2013年秋に最終判断する考えを示している消費税率の引き上げについての判断後。予定通りに消費税率を8%に引き上げることが決まれば、経済成長に伴う税収増も含めて2014年度の税収を見積もり、各省庁からの要望枠の本格的な査定に入る。一方、消費増税を見送った場合は財源を確保できなくなる可能性があり、2014年度の予算は大幅な見直しが迫られる。そのため、特別枠の規模にも影響する可能性がある。
財務相は消費増税が決まるまで税収を把握しきれないため、歳出総額の明記は見送る。消費増税に合わせて予定する子育て支援などの社会保障充実策も、消費増税が決まるまで予算要求を先送りする。
なお、特別枠の対象となるのは、太陽光や風力など再生可能エネルギーの普及、輸出できる医療機器・医薬品の開発、農家の事業多角化、農産物の輸出支援、外国人観光客を増やす政策、日本のアニメや日本食のPR、海外留学の環境整備によるグローバル化人材育成など。