政府は、宇宙関連産業の市場規模を2030年初頭までに現在の2倍の約2兆4000億円に引き上げる目標を持つ。宇宙のゴミ(デブリ)は、各国がロケット打ち上げなどで宇宙に漂うデブリが増加しており、通信衛星や気象衛星と衝突する危険性が高まっている。政府は宇宙戦略基本方針にデブリ対策を盛り込み。民間企業もデブリ除去サービスの実用化に向けて動いている。
【宇宙ゴミ(デブリ)の危険性とは】
宇宙ゴミ(デブリ)とは、人工衛星やロケットの残骸などの人工物。各国がロケット打ち上げなどで宇宙に漂うデブリが増加しており、通信衛星や気象衛星と衝突する危険性高まっている。
【日本政府:国連と連携、官民共同の実証実験へ】
政府は2017年改定の宇宙戦略の基本方針に、デブリ対策を国連と提携することを盛り込んだ。宇宙ビジネスに政府系金融機関が投融資する仕組みを作り、企業参入を後押しする。衛星の衝突を防ぐ方策についても米欧などと議論を進める。
2019年度にはデブリ除去のため、官民共同の実証実験に乗り出す見通し。デブリを衛星で回収し、大気圏への突入により燃え尽きさせるような技術の確立を目指すという。
【デブリ除去に向けた企業の動き】
政府が実証実験で技術確立を目指すデブリを衛星で回収する方法では、宇宙ベンチャーのアストロスケールが2020年にデブリ除去のサービスの実用化を目指している。2018年初旬までに微小デブリ計測衛星を、2019年前半にデブリ除去衛星実証機の打ち上げを予定する。(人工衛星を打ち上げて、磁石で宇宙ゴミを回収する技術を開発中。部品を除去する実証衛星を2020年初に打ち上げを予定する。)2017年7月にANAホールディングスや切削工具のOSGなどがアストロスケールに約28億円を出資。調達資金は、デブリを除去する衛星の量産や各国の宇宙機関と連携するための海外拠点の整備に充当する。
また、日東製網は、JAXAと無結節網技術を活かし、デブリ除去システムに必須の素材である「伝導性網状テザー」と呼ばれる電気を通すひも場の開発に取り組んでいる。