高エネルギー加速器研究機構は、宇宙誕生初期の状況を再現する新型加速器「スーパーKEKB」で本格的な観測を始めた。電子とプラスの電気を帯びた陽電子をほぼ光の速さで衝突。発生した素粒子などの振る舞いを調べることで物質誕生の謎に迫る。
約138億年前の宇宙誕生直後は、物資と電気的な性質が反対の「反物質」が同じ数だけあったとされる。現在の宇宙では反物質は消え、物質だけが残っているという。
スーパーKEKBは、地下11メートルに設けた1周3キロメートルの円形の施設。電子と陽電子をぶつけて「ベル2」と呼ぶ計測器で観測する。衝突頻度を従来の40倍に高め、多くのデータを収集。反物質が消えた謎の解明を目指す。宇宙を覆う謎の暗黒物質の正体にも迫る計画。