パワー半導体とは、電子機器やモーターなどで電気を効率的に制御するための部品。シリコン製が主流だが、窒素ガリウムは省エネ性能に優れ、次世代材料として注目されている。しかしながら、現状では量産が難しいとされている。
パワー半導体開発の動き
パナソニックは2016年春から窒素ガリウムを採用した次世代半導体の量産を開始する見通し。住友電気工業や三菱化学も研究に取り組む。政府が成長戦略の一環として最先端の基礎研究を支援する「戦略的イノベーション創造プログラム」として研究開発。政府は2014年度に4億円を支援する。
コード | 銘柄 | 内容 |
6572 | パナソニック | 2016年春から量産開始 |
独インフォニオンと共同開発 | ||
5802 | 住友電気工業 | 窒化ガリウムのウエハーを高品質で製造する手法の開発 |
- | 三菱化学 | 中村修二教授らと窒化ガリウムの結晶製造研究 |
4005 | 住友化学 | 日立金属から窒素ガリウム事業を買収 |
4004 | 昭和電工 | 炭化ケイ素を素材とするパワー半導体材料を増産 |
【パナソニック】
窒素ガリウムを採用した次世代半導体を開発し、2016年春から量産を開始する見通し。窒素ガリウム採用で、電力ロスを従来の約半分に抑える。
また、2015年3月10日には独インフォニオンテクノロジーズと共同開発で合意。パナソニックが窒素ガリウムの回路技術をライセンス供与し、両社の工場で生産。それぞれがサーバーの電源メーカーなどに販売する。
【昭和電工】
炭化ケイ素を素材とする省エネ性能が高い次世代パワー半導体材料を増産する。2010年代半ばから段階的に約50億円を投資し、生産能力を2014年の月1100枚から2020年に月2万5000枚に引き上げる計画。
炭化ケイ素は半導体素材として主流のシリコンと比べ、電力消費を約60~70%減らせるという。用途は主に家庭やビルの空調設備、地下鉄車両の電力変更装置(インバーター)に使われるパワー半導体の材料として使用される。
2015年には都市型通勤車両に搭載。2020年頃から電気自動車やハイブリッド車などエコカーの量産車に搭載され、炭化ケイ素を素材とするパワー半導体素材の市場規模は2020年に現在の7倍の300億円になる見通し。
項目 | 内容 |
投資額 | 50億円 |
生産能力 | 2014年1100枚→2020年2万5000枚 |
市場規模 | 2020年 300億円 |