政府は公的保険が使える診療と使えない診療を組み合わせる「混合診療」の対象を2016年から拡大する。患者が希望すれば混合診療を受けられるように規制緩和する。現行の混合診療は約100種類にとどまり、医師側が希望しなければ認められない。今回の規制緩和で患者側が希望すれば未承認の新薬や医療機器を幅広く使えるようにする。患者が希望し、国の専門会議が審査。安全性や有効性が確認できれば混合診療が受けられるようになる。
一部のがん治療など先端医療は全国15ヶ所の中核病院に限られる。リスクの低い治療は6月案では国内初の治療では15ヶ所の中核病院で国の専門家会議が安全性・有効性を判断し、2例目以降は中核病院の承認で診療所など約1000の医療機関で治療が可能になるとしていたが、11月案では原則として全国約100ヶ所の大病院で治療を実施し、中小病院や診療所は患者の相談や病院を紹介することが主な役割となる案を示した。
また、患者らの細胞を使って体の組織を修復する再生医療製品を混合診療の対象に加えることを了承。診療を通じて安全性や効果が認められた再生医療製品は、健康保険が適用されるようになる。
厚生労働省は関連法案を2015年通常国会に提出し、2016年度にも導入する方針。
混合診療拡大案
概要 | 6月案 | 11月案 |
承認 | 医師の希望→医師+患者の希望 | |
初の治療 | 全国15ヶ所の中核病院を対象 | |
安全性・有効性審査を3~6ヶ月→半分に短縮 | ||
2例目以降 | 中核病院が認めれば幅広い医療機関で利用可能 | 原則100ヶ所の大病院で治療 |
実施医療機関数は100~1000 | 中小病院や診療所は病院を紹介 |
厚生労働省の混合診療拡大案
厚生労働省の混合診療拡大案 |
保険外併用療養費制度の対象を拡大 |
他に治療手段がない患者が未承認の薬を混合診療で使える制度 |
保険適用から外れた新薬などを混合診療で使える制度 |
【保険外併用医療制度の対象を拡大】
現在、重粒子線治療や遺伝子診断など一部に例外的に混合診療を認めている「保険外併用療養費制度」の対象を拡大。2014年度中に専門の評価組織を立ち上げ、再生医療や新技術を使った医療機器などを評価し、この制度の対象に加える。
【他に治療手段がない患者が未承認薬を混合診療で使える制度】
他に治療手段がない患者が未承認の薬を混合診療で使える制度も2015年度から本格導入。現在は未承認薬は薬の有効性を調べる治験のみ混合診療が認められているが、治験対象外の患者は全額負担となっている。新制度では治験対象外の患者も未承認薬を保険診療と併用できる。
【保険適用から外れた新薬などを混合診療で使える制度】
治療効果があっても費用が高額すぎる新薬・医療技術などを保険適用から外すことを検討。保険適用から外れた新薬などを患者が使いたい場合は混合診療で使えるようにする制度を2016年度以降に新設。