安倍晋三内閣が積極的な金融緩和、機動的な財政出動に続く「第3の矢」として成長戦略とその関連銘柄をまとめた。「女性、若者の活用」「企業や農業の活性化」「公的ビジネスに民間の活力を活用」の3点が軸で、デフレ脱却を探る。参院選が終わり衆院のねじれが解消したことから成長戦略の行方が注目される。


成長戦略 関連銘柄

政策 コード 企業
 女性活用(保育・介護) 2749  JPホールディングス
7956  ピジョン
9792  ニチイ学館
2398  ツクイ
 労働規制改革(人材派遣・仲介) 2427  アウトソーシング
4848  フルキャストホールディングス
2168  パソナグループ
2181  テンプホールディングス
2175  エス・エム・エス
 TPP(農業) 4997  日本農薬
6310  井関農機
6326  クボタ
4996  クミアイ化学工業
1377  サカタのタネ
 医療・バイオ 2413  エムスリー
4775  総合メディカル
7774  ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング
4978  リプロセル


医療、女性・若者

 女性の活躍を成長戦略の中核と位置付け、2013年度から2年間で20万人、5年間で40万人を保育する環境を整えて待機児童解消を目指す。医療開発の司令塔「日本版NIH」を設立、ロシアや中東に先端医療センターを設けるなど、医療を成長産業に育てる環境を作る。

健康・医療  医療研究開発の司令塔「日本版NIH」を創設
医療機器を海外に売り込む官民共同の新組織を設立
再生医療の実用化へ規制緩和を推進
一般医薬品のネット販売解禁
労働 成長産業への再就職を支援する助成金の拡充
フリーターの「試験雇用」に取り組む企業に助成金
若者・女性 就職活動解禁を「大学3年生に3月」からとするように経済団体に要請
2017年度に「待機児童ゼロ」へ環境整備
「育児休業3年」を経済団体に要請


企業や農業の活性化

 今後3年間を企業の設備投資を促す集中期間と位置付け、税制・予算措置や規制改革など政策を総動員する。民間企業の設備投資を2012年の63兆円から2015年に70兆円に引き上げる。また、経済外交を強化して原子力発電所や鉄道などを売り込み、日本企業のインフラ受注額を2010年の10兆円から2020年に30兆円規模に増やす意向。

企業の活性化 民間リース会社が企業に設備を貸しやすくする保険制度を創設。民間の設備投資額を3年間で1割増の70兆円規模に。
海外でのインフラ受注額を2020年に現在の3倍の30兆円
農業の活性化 都道府県が耕作放棄地を集約し、農業生産法人に貸し出す制度を創設
農業所得を10年間で倍増
農林水産品の輸出額を2020年までに1兆円に倍増
クールジャパン・観光 訪日外国人数を年間800万人前後から2000万人
放送コンテンツの輸出額を2018年に現在の3倍以上
教育 大学の外国人教員を3年間で倍増


公的ビジネスに民間の活力を活用

 電力・医療・インフラ整備など公的ビジネスの分野で規制改革や特区創設を進め、民間の活力を活用する。電力小売りの完全自由化を進めるほか、空港、道路整備で民間資金を活用していく。

公的ビジネスに民間活力 成長シナリオの実現で、1人あたりの国民総所得は年3%超、2023年までの10年間で150万円以上増やす
2023年までの日本の電力関係投資を30兆円規模に拡大(これまでの1.5倍)
最新技術を活用したインフラ整備で長寿命化を目指す
2020年に外国企業の対日直接投資残高を35兆円に倍増
利用可能な農地がどこにあるのかを誰でも確認できる「農地利用電子マップ」を整備