第185回臨時国会が2013年10月15日から12月6日に開かれる。安倍首相は所信表明演説でデフレ脱却に向けた成長戦略を実行する決意を示し、財政再建と社会保障制度を同時に達成する考えを強調。東京電力福島第1原子力発電所の汚染水対策は国が全面に立って責任を果たすとし、TPP交渉の年内妥結へ貢献する考えを表明した。
{デフレ脱却へ成長戦略を実行}
今後3年間を集中投資促進期間と位置付け、税制や予算、金融、規制改革など施策を導入する方針。地域限定で規制を緩和する「国家戦略特区」の創設。成長分野に挑む企業を支援するために特例的に規制緩和を認める「企業実証特例制度」の創設も掲げる。
【国家戦略特区】
残業や雇用など条件を柔軟に設定できる規制緩和や企業が農業生産法人を通じて農地を所有する要件を緩めることなどを検討。医療では病院のベッド数の配置を巡る規制を緩め、病院間でベッド数の配置換えができるよう規制緩和を進める。
【企業実証特例制度】
新技術の創出などを目指す企業に対して、特例で大胆な規制緩和を認める。複数の企業による取組が前提で、自動走行技術開発において現在は許可を得ることが難しい行動での走行実験を可能にすることなどを想定している。
{財政再建}
消費税率を5%から8%に引き上げると同時に経済対策を実施して賃金上昇と雇用拡大につなげる。
{社会保障制度}
財政健全化の実現を目指しながら、社会保障制度は大胆に改革を進める。少子化対策を充実し、若年層にも配慮した全世代型の社会保障への転換を提案する。
{東電汚染水問題}
東京電力福島第1原子力発電所の汚染水対策は国が全面に立って責任を果たす。
{TPP}
TPP交渉は年内の妥結に向けて攻めるべきは攻め、守るべきは守る。
{外交}
外交・安保政策の司令塔となる国家安全保障会議(日本版NSC)の創設や、安保政策の中長期の指針となる「国家安全保障戦略」の策定に取り組む。
項目 | 内容 |
雇用 | 「事前型金銭解決制度」を含む雇用規制の緩和 |
契約社員の有期雇用契約の期間を緩和 | |
条件付きで法定労働時間の規制を適用しない「ホワイトカラー・エグゼンプション」の導入 | |
医療・介護 | 看護師、介護士、保育士の外国人受け入れ拡大 |
病床規制の見直し | |
医学部新設 | |
混合診療の解禁 | |
教育 | 教育に限った利用権を家庭に配り学費負担を軽減する制度の創設 |
農業 | 株式会社の農地所有を解禁 |
生産法人への出資比率を25%以下から50%以上も容認 | |
法人の役員の過半数が年150日以上の農業に従事する規制の見直し | |
農業生産法人に中小企業向け信用保証制度を適用 | |
農業委員会の農地貸借・売買の許可権の見直し | |
都市再生 | 商業ビルなどの駐車場設置義務の廃止 |
決定時期 | 内容 | 金額 |
2013年10月1日 | インフラの老朽化対策など公共投資 | 2兆円 |
震災復興事業 | 1.3兆円 | |
低所得者への現金給付 | 3000億円 | |
住宅購入者への現金給付 | 3100億円 | |
復興特別法人税廃止分の補填 | 9000億円 | |
2013年12月中 | 設備投資を促す法人減税 | 7300億円 |
賃上げ促進税制の拡充 | 1600億円 |
分野 | 項目 | 実施時期 |
医療費 | 70~74歳の窓口負担を10%から20%へ | 2014年(段階的) |
高額療養費の負担上限引上 | 2014年 | |
医療提供体制見直し | 2014年法案提出 | |
大企業の健康保険組合負担増 | 2015年法案提出 | |
国民健康保険の運営を市町村から都道府県に移管 | 2017年 | |
高所得者の保険料引上 | 2017年 | |
介護 | 一律10%の自己負担 高所得者で自己負担増 | 2014年法案提出 |
軽症状者を介護給付対象から除去し市町村サービスへ | 2014年法案提出 | |
特別養護老人ホームへの軽症状者の入所制限 | 2014年法案提出 | |
年金 | 年金支給開始年齢の引上 | 検討課題 |
少子化 | 20万人分の保育の受け皿を整備 | 2014年まで |