パナソニックは構造改革で、2013年度に純利益を500億円以上生み出し、2014年度までに赤字事業を止血。2015年度に営業利益3500億円以上の収益を上げる体制を目指す。

まず、赤字事業の止血により1300億円プラスにする。テレビ事業をはじめとする赤字事業の止血に、2014年度までに約2500億円の構造改革費用を見込む。また、全事業部による営業利益率5%以上に向けた収益改善で1400億円をプラス。効率化や制度改革により700億円をプラスする計画。


構造改革推移

事業 構造改革 時期
テレビ 中国での生産から撤退 15年2月
三洋電機の北米テレビ事業を売却 15年3月末
パナソニック液晶ディスプレイを99%減資 14年3月
プラズマテレビ生産工場1棟を20億円で売却 14年3月
プラズマテレビ向けパネル生産停止 13年12月
人材派遣 エクセルスタッフ株式66.61%をテンプHDに売却 15年3月
土地 本社地区の土地を売却 15年春
回路基板 国内向け回路基板から撤退 15年春
半導体 富士通の半導体事業と統合 14年7月
従業員半減と工場売却 13年度
太陽電池 ハンガリーの工場を閉鎖 14年4月
ヘルスケア パナソニックヘルスケア株式80%をKKRに売却 13年9月
携帯電話 国内個人向けスマートフォンから撤退 13年度

 

【テレビ】
2015年2月2日、中国で年17万台を生産する液晶テレビの生産からの撤退を発表。価格が安い韓国や中国メーカーとの競争が激しく採算が見込めないと判断した。

2015年3月末に三洋電機の北米テレビ事業を船井電機に売却。船井電機に三洋ブランドのテレビ販売をする権利を譲渡し、ブランド使用料を徴収する体制に切り替える。

大阪府茨木市の液晶パネル開発拠点を姫路工場と統合。姫路工場運営会社のパナソニック液晶ディスプレイを2014年3月末に99%減資。2013年3月末の資本金502億円、資本剰余金561億円から資本金5億円、資本剰余金0円にした。

2013年12月にプラズマテレビ向けパネル生産を停止。生産拠点の尼崎工場の3棟のうち、休止している1棟を不動産顧問会社センターポイント・ディベロップメントに20億円で売却した。


【人材派遣】
テンプホールディングスがパナソニックの人材派遣事業であるエクセルスタッフの株式66.61%を取得し、子会社化。取得額は169億円。完了は2015年3月31日。


【土地】
大阪府門真市の本社地区にあるテレビやオーディオなどAV機器の本部や研究開発部門の土地を売却することで三井不動産と合意したもよう。2015年春にも契約。売却額は数百億円になる見通し。約5000人いる従業員は2015年春に他の拠点に移す。


【半導体】
2014年7月31日、富士通とパナソニックの半導体システムLSIの設計・開発部門を統合。2015年1-3月の営業開始を予定。

連結従業員1万4000人を2014年度までに約7000人と半分に減らし、海外企業と一部工場の売却を進める。2013年度に工場改革費用約500億円を計上。


【太陽電池】
2014年3月にハンガリーにある太陽電池工場を閉鎖。設備を日本とマレーシアの工場に運び生産を移管する。


【ヘルスケア】
2013年9月に子会社パナソニックヘルスケアの株式80%を米ファンドKKRに売却することに合意。関連資産や商号の使用許諾を含め、売却額は1650億円。2013年度に営業外収益750億円を計上。


業績

  売上高 税引前利益 純利益 純資産 総資産 自己資本比率
2015年(予) 8兆円 3000億円 1800億円 - - -
2014年 7兆7150億円 1824億円 1794億円 1兆8232億円 5兆9569億円 30.6%
2013年 7兆7365億円 2062億円 1200億円 1兆5481億円 5兆2129億円 29.7%
2012年 7兆3030億円 ▲3983億円 ▲7542億円 1兆2640億円 5兆3978億円 23.4%
2011年 7兆8462億円 ▲8128億円 ▲7721億円 1兆9297億円 6兆6010億円 29.2%
2010年 8兆6926億円 1788億円 740億円 2兆5589億円 7兆8228億円 32.7%


【セグメント別】

セグメント 業績 2012年 2013年 2014年 2015年(予)
アプライアンス 売上高 1兆894億円 1兆1966億円 2兆3348億円 2兆3200億円
営業利益 364億円 285億円 498億円 710億円
エコソリューションズ 売上高 1兆6732億円 1兆8466億円 1兆6660億円 1兆7260億円
営業利益 628億円 950億円 953億円 1045億円
AVCネットワークス 売上高 1兆6214億円 1兆5734億円 1兆1543億円 1兆2360億円
営業利益 83億円 215億円 518億円 675億円
オートモーティブ 売上高 2兆5180億円 2兆7376億円 2兆7968億円 2兆8350億円
営業利益 295億円 857億円 1164億円 1425億円
その他 売上高 1兆88億円 9580億円 7645億円 6700億円
営業利益 34億円 200億円 146億円 120億円


経営計画 2013~2015年

パナソニックは、2013年度から2015年度までの中期経営計画を策定。2015年度に営業利益3500億円以上、営業利益率5%以上、フリーキャッシュ・フローを累計で6000億円以上とする目標を掲げている。

2013年度に純利益を500億円以上生み出す。2014年度までに赤字事業を止血。2015年度に営業利益で3500億円以上の収益を上げる体制を目指す。

まず、赤字事業の止血により1300億円プラスにする。テレビ事業をはじめとする赤字事業の止血に、2014年度までに約2500億円の構造改革費用を見込んでいる。また、全事業部による営業利益率5%以上に向けた収益改善で1400億円をプラス。効率化や制度改革により700億円をプラスする計画。

  2015年度
営業利益 3500億円以上
営業利益率 5%以上
フリーキャッシュ・フロー 累計6000億円以上


【設備投資】
2018年までの5年間で総額1兆円を投資する計画。自動車分野では車載電池や電装品、車載機器などに積極投資。2014年はエコカーに使われる車載用リチウムイオン電池の国内設備増強のため140億円を投資する。また、車載関連技術や販路を持つ企業を対象にM&Aも検討。 


【介護関連事業】
高齢者向け集合住宅を2018年までに2棟から100棟に増やす。売上高を2013年の265億円から2018年に500億円を計画する。賃貸アパートに安否確認などを組み合わせたサービス付き住宅を運営する。

また、介護機器ではアジアへの輸出を強化する。現在は韓国に入浴椅子を輸出しており、台湾への輸出も検討する。

  2013年 2018年
売上高 265億円 500億円
集合住宅 2棟 100棟