2013年9月7日、2020年開催の夏期オリンピック開催都市が東京に決定した。大会運営能力の高さや財政力、治安の良さなどが評価された。 2020年夏期オリンピックの東京開催に伴う経済波及効果は全国総額2兆9600億円と試算されている。施設整備など需要増加額は1兆2200億円で東京都だけでも9600億円。内訳は施設整備費3669億円、大会運営費2951億円、大会関係者の支出消費などが3161億円となっている。経済波及効果の算出は、2013年から大会を開催する2020年までの8年間が対象。競技会場の整備や交通インフラなどへの投資が増える見通し。 2020年の東京五輪の開催日程は7月24日から8月9日で計28競技が行われる。東日本大震災からの復興を後押しするため、聖火リレーは東北の被災地を縦断する計画。なお、現在スポンサーが出そろっているのは2016年のリオデジャネイロ五輪まで。東京五輪のスポンサーは2014年秋前後であるもよう。


オリンピック スポンサー

 パナソニックは国際オリンピック委員会(IOC)と2024年まで五輪スポンサー契約を延長。契約期間は2017~2024年までで、契約額は300億円前後と見られる。従来のAV(音響・映像)製品の広告宣伝ができる権利に加え、アジアや欧州などで白物家電の広告宣伝ができる権利も獲得した。

コード 企業 期間 権利
6752 パナソニック ~2024年 AV製品、アジア欧州で白物家電の広告宣伝


東京オリンピック招致 スポンサー銘柄一覧

コード 企業 コード 企業
7936 アシックス 2331 ALSOK
8144 デサント 4689 ヤフー
9726 KNT 3632  グリー
8022 ミズノ 2288 丸大食品
9202 ANA 1925 大和ハウス
9201 JAL 8214 AOKIHD
7203 トヨタ    


建設関連銘柄

 東京オリンピック開催に伴う設備整備などの需要額は1兆2200億円と試算されている。東京都だけでも9600億円で施設整備費は3669億円。競技会場の整備や交通インフラなどへの投資が増える見通し。1958年竣工の国立競技場(オリンピックスタジアム)の工事を手がけた大成建設は受注に占める首都圏のシェアが約60%と高い。関連工事が本格化する2016年3月期以降の連結売上高を1兆5000億円程度と2014年度の見通しである1兆3900億円比で10%以上増やす方針を示している。

【大手ゼネコン4社】

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1812 鹿島 1802 大林組
1801 大成建設 1803 清水建設

【中堅ゼネコン12社】

コード 企業 コード 企業
1719 安藤・間 1720 東急建設
1725 フジタ 1808 長谷工
1811 錢高組 1821 三井住友建設 
1824 前田建設工業 1833 奥村組
1860 戸田建設 1861 熊谷組
1885 東亜建設工業 1893 五洋建設

 

【オリンピック施設の建設費用見通し】
東京都は2020年東京五輪の会場整備計画の再検討作業を始めた。新設する予定の10施設の整備費が承知段階での1538億円から建設費の高騰で3800億円となると試算。五輪開催のために積み立てた約4100億円の基金を食いつぶす恐れが出てきた。東京都は3施設の見直しに着手している。

会場名 競技 建設費用(新設) 建設費用(既存設備改良)
オリンピックスタジアム 陸上競技、サッカー場など 1300億円 -
選手村 - 954億円(民間資金活用)  -
日本武道館 柔道 - 39億円
夢の島ユースプラザアリーナA バトミントン 364億円 -
夢の島ユースプラザアリーナB バスケットボール
オリンピックアクアティスセンター 水泳 321億円  -
有明アリーナ バレーボールなど 176億円  -
有明テニスの森 テニスなど - 59億円
若洲オリンピックマリーナ セーリング 92億円  -
海の森水上競技場 ボート、カヌー 69億円  -
大井ホッケー競技場 ホッケーなど 25億円  -
葛西臨海公園 カヌー 24億円  -
夢の島公園 アーチェリー 14億円  -

【オリンピックへのインフラ整備見通し】
国土交通省は国際線発着枠の拡大や割高な着陸料の引き下げなどを検討。発着枠は現状の67万回から75万回まで増やすことが決まっている。羽田空港では滑走路やターミナルを増設する案も浮上している。また、大型クルーズ船の寄港回数を伸ばすため、東京都は五輪までに新たなターミナルを整備する方針。 道路では都心の渋滞解消のため、放射線状に延びる道路を結ぶ首都高速中央環状線、東京外郭環状道路、圏央道の3環状道路の整備が進んでいる。観客の輸送は地下鉄やバスなど公共交通機関が主力で、駅などがバリアフリー化される。新幹線網は北陸が金沢、北海道が函館まで延びており、国内観光・海外チームの事前合宿地としての利便性向上が見込まれる。

分野 内容 計画
空港 羽田・成田空港の年間発着枠の拡充 2014年度の75万回からの増枠を検討
道路 圏央道、外環道、中央環状線の3環状道路の整備 2020年度までに90%完成
鉄道 羽田・成田空港を結ぶ「都心直結線」を整備 2020年代開業予定を前倒し


含み資産銘柄

 含み資産株は値幅が大きくなる特性があり、これまでも度々物色されている。

コード 銘柄
 9633  東京テアトル
 9671  よみうりランド
 9672  東京都競馬
 9119  飯野海運


東京五輪の経済波及効果見通し

 NHKは2020年の東京五輪を見据え家庭用8Kテレビの共同開発をメーカーに呼びかけていく方針。NHKは三菱電機と8Kで放送するための装置を開発。NTTや富士通などは放送局から家庭に送られてきた4K、8Kの圧縮映像データを元に戻す半導体の開発に着手。KDDIと傘下JCOMは4K、8Kデータを現状のケーブル回線で伝達できる技術を確立。総務省は2014年に4K、2016年に8Kの試験サービスを始めたい考え。

業種 金額 東京都
サービス 6510億円 4779億円
建設 4745億円 4591億円
商業 2779億円 1419億円
運輸 2426億円 972億円
情報通信 1909億円 1456億円
電気機械 1746億円 1069億円
金融・保険 1178億円 789億円
その他 6799億円 1435億円


東京五輪までの主なスケジュール

 2014年1月24日、東京五輪・パラリンピック組織委員会が発足。基本財産は3億円で東京都と日本オリンピック委員会が折半出資した。2015年をめどに大会基本計画の作成や国際オリンピック委員会(IOC)と連携し、競技運営や入場券販売などの大会開催中核を担う。

スケジュール
2014年 1月 大会組織委員会が発足
7月 国立競技場の解体開始
2015年 1月 大会基本計画の策定
10月 新国立競技場の建設開始
2019年 1月 チケット販売開始
2020年 3月 新国立競技場完成
7月24日~8月9日 五輪
8月25日~9月6日 パラリンピック