有機ELパネルはスマートフォン向けでは中小型液晶最大手のジャパンディスプレイが試作を開始。材料や生産技術を検証し、量産化を計画している。韓国のLGディスプレイは中小型パネルの新ラインを稼動させる。
タブレット向けでは官民ファンドの産業革新機構、ジャパンディスプレイ、ソニー、パナソニックが新会社JOLEDを発足。ソニーやパナソニックが開発してきた印刷技術を応用して有機EL材料をパネルに塗布する方式で量産技術を確立させる。
生産ライン稼動への投資や量産計画、試作ラインへの投資などで動き出している。
スマートフォン用有機ELパネル
企業 | 内容 | 投資額 | 時期 |
LGディスプレイ | 有機ELパネル工場を新設 | 1兆700億円以上 | 2018年上半期 |
中小型パネルの生産ライン稼働 | 1100億円 | 2017年 | |
ジャパンディスプレイ | 量産開始計画 | - | 2018年 |
スマホ向けパネルの試作開始 | 200億円 | 2014年春 |
【韓国LGディスプレー】
韓国LGディスプレーは有機ELパネル工場を新設。総投資額は10兆ウォン(約1兆700億円)以上。稼動は2018年上半期。段階的に拡大する。スマートフォン用などの中小型やテレビ用の大型パネルを製造。画面を曲げられるパネルや透明ディスプレーなどあらゆる種類のパネルに対応する。
また、スマートフォンやウエアラブル端末向けの中小型の有機ELパネルの生産ラインも新設。投資額は約1100億円。生産能力は月150万台。2017年に稼動する。
【ジャパンディスプレイ】
ジャパンディスプレイは2014年春からスマートフォン向け有機ELパネルの試作を開始。石川県の工場に200億円を投資。材料や生産技術を検証し、2018年に量産を開始する計画。
ノートPC・タブレット用有機ELパネル
官民ファンドの産業革新機構とジャパンディスプレイ、ソニー、パナソニックは有機ELパネルの量産開始と早期事業化を目的に新会社JOLEDを発足。ソニーやパンソニックが開発してきた印刷技術を応用して有機EL材料をパネルに塗布する方式で量産技術を確立する。
JOLEDは石川県に研究開発拠点を新設。試験ラインなどの整備で投資額は約200億円。設立は2016年春。JOLEDの株主であるジャパンディスプレイの石川工場内でパネルの量産技術を確立する。
タブレット端末やノートパソコン向けパネルを量産。2016年春から試作品を生産し、2016年内にサンプルを出荷。2017年頃には量産のための設備投資を決定。早ければ2018年にも量産を開始する計画。
年 | スケジュール |
2016年春 | 200億円投じ、石川県に研究開発拠点 |
2016年内 | サンプル出荷 |
2017年 | 量産のための設備投資を決定 |
2018年 | 量産開始 |
アップル iPhoneに有機ELパネルを採用へ
米アップルはiPhoneに有機ELパネルを採用するもよう。2018年発売予定のモデルに搭載。派生ブランドを用意するなど一部のiPhoneで有機ELを採用し、液晶を搭載した製品と平行して販売する見通し。
有機ELは発光量や省電力の性能が経年劣化しやすいという課題を抱える。アップルは今後2016年をめどに弱点を改善し、安定的に供給を受けられるかを見極める。
項目 | 内容 |
採用 | 2018年販売モデルに搭載 |
販売 | 有機EL搭載モデルと液晶搭載モデルを平行して販売 |