ジャパンディスプレイは、2014年4月に日立製作所、東芝、ソニーの中小型液晶事業を統合し、発足。競争力の高い中小型液晶パネルで優位に立つため、スマートフォン用パネルの高精細化に経営資源を集中している。米アップルやソニー、中国メーカーなどに出荷している。
ジャパンディスプレイは2015年~2020年の5年間で3000億円を投資する計画。高精細液晶パネルの生産能力を増強。第6世代と呼ぶ大型ガラス基板ベースで月産7万枚と生産能力を現在の2倍に引き上げる。茂原工場のほか、2016年に稼動予定の石川県の工場の設備を段階的に拡張する。
【投資計画】
2015~2020年 | |
投資額 | 3000億円 |
高精細液晶パネル生産 | 3.5万枚→7万枚 |
設備投資・買収・開発
分野 | 内容 | 年 |
スマートフォン | 1700億円で石川に新工場 | 2016年 |
12.7億円で台湾の液晶パネル組立メーカー買収 | 2013年12月 | |
茂原工場に500億円投資。生産能力引き上げ | 2013年6月 | |
タブレット | 8.9型液晶パネルの精細度 1.5倍→3倍 | 2013年10月 |
4K画質の12.1型液晶パネルを開発 | 2014年 | |
有機EL | 200億円投資。スマートフォン向け量産へ | 2015年 |
200億円投資。タブレット向け量産へ | 2018年 | |
ウエアラブル | 腕時計型端末用の小型液晶パネルの量産開始 | - |
自動車 | 車載用のモジュール組立 18万台→45万台 | 2016年末 |
【スマートフォン】
2015年3月6日、スマートフォン向け液晶ディスプレイ工場を石川県に新設すると発表した。投資額は約1700億円で、大半を主要納入先である米アップルが負担すると見られる。液晶パネル生産能力は全体で約20%拡大。稼動は2016年。
項目 | 内容 |
投資額 | 1700億円 |
対象 | 液晶ディスプレイ新工場 |
生産能力 | 月2万5000シート |
資金 | 米アップルが大半を負担 |
稼動 | 2016年 |
2013年12月、台湾の液晶パネル組立メーカーの中日新科技を買収すると発表。買収額は3億7400万台湾ドル(約12億7000万円)で株式80%を取得した。中国市場での事業拡大が目的。
投資額 | 中日新科技 | |
売上高 | 資本金 | |
12.7億円 | 23.26億円 | 17.65億円 |
2012年4月にパナソニックから買収した茂原工場に1500億円を投じテレビ用大型液晶パネルから中小型液晶パネル向けに設備を入れ替え。2013年6月に500億円を投じ、生産能力を引き上げ。中国スマホメーカーの受注を取り込む。
対象 | 年 | 投資額 | 内容 |
茂原工場 | 2012年 | 1500億円 | テレビ用パネル→中小型液晶パネル用 |
2013年 | 500億円 | 生産能力引き上げ |
【タブレット】
2013年10月、画面の精細度が1.5倍から3倍となる8.9型液晶パネルの量産開始。また、「4K」画質で12.1型の液晶パネルを開発。2014年にタブレット向けに量産を目指し、4Kパネルをモバイル機器向けに拡げる。
【有機EL】
2014年春からスマートフォン向け有機ELパネルの試作を開始。石川県の工場に200億円投資。材料や生産技術を検証し、2015年に量産を開始する計画。また、タブレット向け有機ELパネルの量産・早期事業化に向け新会社JOLEDを2015年1月に発足。2015年に試作ラインへ200億円を投資し、2016年からサンプルを出荷。2018年にも量産する計画。
【ウエアラブル端末】
腕時計型端末用の小型液晶パネルの量産を開始。紙に印刷したような画像が表示できるため、ウエアラブル端末の他、スマートフォンやタブレット、電子書籍端末でも採用を見込む。英調査会社ジュニパーリサーチはウエアラブル端末の世界市場が2018年に190億ドル(約2兆円)と予測している。
【自動車】
台湾子会社の車載用ディスプレイのモジュール組立を増産。投資額は約20億円。2016年末までに月産18万台から45万台にする。2016年度の車載用事業の売上高を2013年比約1.5倍、2018年度に2倍以上にすることを目指す。
項目 | 内容 |
投資額 | 20億円 |
対象 | 車載用ディスプレイのモジュール組立増産 |
完了 | 2016年末 |
経営計画
2018年に米国の車載用パネル市場でシェア30%を目指す。2018年頃に発売される新型車のカーナビやメーター機器用に液晶が搭載される見通し。
通常のパネルより消費電力を99%削減できる特殊な液晶パネルの用途を拡大。電子看板や各種計測器、多機能情報端末などの分野を開拓する。年間売上高を数十億円から2020年に1000億円規模にする。
市場動向
【モバイル分野】
スマートフォンやタブレット端末の流通数量拡大や動画・ゲームなどWebコンテンツの充実を受けたモバイル機器の大型化により成長。最近では5型超の大画面ディスプレイやFull-HDの高精細液晶ディスプレイの需要が拡大。タブレット端末でも7型超のFull-HDや8型クラスの採用が始まっている。
【自動車分野】
スピードメーター、燃料系、運転手への警告などをデジタル表示するインストルメントパネルの搭載が高級車を中心に進む。また、それらの情報をフロントガラスに映し出すヘッドアップディスプレイを装備する車種も登場している。
業績推移
売上高 | 経常利益 | 純利益 | 純資産 | 総資産 | 自己資本比率 | |
2014年 | 7693億円 | 18億円 | ▲122億円 | 4026億円 | 8316億円 | 48.2% |
2013年 | 6145億円 | 190億円 | 339億円 | 4051億円 | 7589億円 | 53.3% |
2012年 | 1651億円 | 85億円 | 35億円 | ▲34億円 | 1150億円 | ▲3% |
※2013年4月1日にジャパンディスプレイイースト、ジャパンディスプレイセントラル、ジャパンディスプレイウェスト、ジャパンディスプレイイーストプロダクツを合併