ジャパンディスプレイ(6740)は、2014年4月に日立製作所、東芝、ソニーの中小型液晶事業を統合して発足。競争力の高い中小型液晶パネルで優位に立つため、スマホ用パネルの高精細化に経営資源を集中している。米アップルやソニー、中国の華為技術など大手メーカーに出荷している。 2013年3月期の売上高は4500億円、営業利益は30億円となるとみられている。米NPDディスプレイリサーチによると、ジャパンディスプレイの中小型液晶パネルの世界シェアは2012年に16.8%で世界首位。
新規上場概要
上場予定日 | 2014年3月19日 |
1単元株式数 | 100株 |
主幹事 | 野村證券 |
公募・売出 | 3億5390万株 |
オーバーアロットメント | 1800万株 |
仮条件 | 900~1100円 |
ブック・ビルディング期間 | 2014年3月4日~2014年3月7日 |
公開価格 | 900円 |
株主構成
コード | 企業 | 出資比率 |
- | 産業革新機構 | 69.52% |
6758 | ソニー | 9.93% |
9502 | 東芝 | 9.93% |
6501 | 日立 | 9.93% |
主要業績指数推移
(*ジャパンディスプレイは2013年4月1日に4社を吸収合併。合併前の統括会社であった旧ジャパンディスプレイを親会社とする連結業績指数)
売上高 | 経常利益 | 純利益 | 純資産 | 総資産 | 自己資本比率 | |
2012年 | 4573億円 | 55億円 | 38億円 | 2521億円 | 6151億円 | 41% |
【主な販売先】
2012年 | ||
売上高 | 割合 | |
アップル | 953億円 | 20.9% |
市場動向
【モバイル分野】
スマートフォンやタブレット端末の流通数量拡大や動画・ゲームなどWebコンテンツの充実を受けたモバイル機器の大型化により成長している。最近では、5型超の大画面ディスプレイやFull-HDの高精細液晶ディスプレイの需要が拡大。タブレット端末でも7型鞍のFull-HDや8型クラスのWQHDのディスプレイ採用が始まっている。
【自動車分野】
スピードメーター、燃料系、運転手への警告などをデジタル表示するインストルメントパネルの搭載が高級車を中心に進む。また、それらの情報をフロントガラスに映し出すヘッドアップディスプレイを装備する車種も登場している。
経営戦略
中国のスマートフォン向けや高精細ディスプレイが採用されはじめたタブレット端末向けや自動車1台あたりのディスプレイ搭載数の増加が期待される車載用パネルの強化に取り組む方針。ジャパンディスプレイのタブレット向け売上比率は6%、車載用パネルの世界シェアは20%とみられている。
設備投資・買収・開発
分野 | 内容 | 時期 |
スマートフォン | 3億7400万台湾ドルで中日新科技を買収 | 2013年12月 |
第6世代の生産能力を月2.4万枚から5万枚に引き上げ | 2013年6月 | |
タブレット | 画面精度が1.5~3倍となる8.9型液晶パネルの量産開始 | 2013年10月 |
4K画質で12.1型の液晶パネルを開発 | 2014年 | |
有機EL | 200億円を投じスマホ用パネルの試作開始 | 2014年 |
量産開始予定 | 2015年 | |
ウエアラブル端末 | 腕時計端末用の小型液晶パネルの量産開始 | 2014年 |
【スマートフォン】
・中日新科技買収 2013年12月19日、台湾の液晶パネル組立メーカーである中日新科技を買収すると発表。買収額は3億7400万台湾ドル(約12億7000万円)で発行済み株式の80%を取得。中国市場での事業拡大が目的。
中国新科技 | ジャパンディスプレイの買収額 | |
売上高 | 資本金 | |
6億8511万台湾ドル | 5億1978万台湾ドル | 3億7400万台湾ドル |
・茂原工場 2012年4月にパナソニックから買収した主力工場。1500億円を投じテレビ用大型液晶パネルから中小型液晶パネル向けに設備を入れ替え。2013年6月に500億円を投じ、第6世代の大型ガラス基盤ベースで月2万4000枚から5万枚に生産能力を引き上げ。中国のスマホメーカーの受注を取り込む。
【タブレット】
2013年10月2日、現在主流のタブレットに比べて画面の精細度が1.5倍から3倍となる8.9型液晶パネルの量産を開始。また、「4K」画質で12.1型の液晶パネルを開発。2014年にタブレット向けに量産を目指し、薄型テレビ向けで先行する4Kパネルをモバイル機器向けに広げる。
【有機EL】
2014年春に約200億円を投じて有機ELパネルの試作を開始。5.2型のスマホ用パネルを生産。2015年に量産を始める計画。米NPDディスプレイサーチによると、中小型の有機ELパネル市場は2016年には171億ドル(1兆7100億円)となる見通し。
【ウエアラブル端末】
腕時計型端末用の小型液晶パネルの量産を開始。紙に印刷したような画像が表示できるため、ウエアラブル端末の他、スマートフォンやタブレット、電子書籍端末でも採用を見込む。英調査会社ジュニパーリサーチはウエアラブル端末の世界市場は2018年に190億ドル(約2兆円)と見込んでいる。