2013年から2014年はメーカーがウエアラブル端末向けの部品を量産へ。村田製作所は超微細なセラミックコンデンサーや超小型水晶振動子に参入し、2013年10月から量産開始。TDKは2014年1月に無線通信の複合部材を、11月に小型の電源モジュールの量産を開始。大真空は水晶振動子の中小型品を開発し、2014年2月から量産を開始した。

2015年は折り曲げ可能なタッチパネルやスマホ本体に電子回路を印刷する技術、無線給電できる給電モジュールなどが実用化される見通し。


ウエアラブル関連部品企業の動き

コード 企業 技術・製品 量産・実用化
4004 昭和電工 銀ナノワイヤの量産技術 2016年
5333 日本ガイシ 高温に強いチップ型リチウムイオン電池 2016年
6770 アルプス電気 折り曲げ可能なタッチパネル 2015年
7862 トッパン・フォームズ スマホ本体に電子回路を印刷する技術 2015年
6753 シャープ 消費電力1000分の1に抑えた新型パネル 2015年春
5802 住友電気工業 無線充電できる給電モジュール 2015年春
6740 ジャパンディスプレイ バックライト不要の腕時計型端末向けパネル 2014年
6762 TDK 小型電源モジュール 2014年11月
無線通信の複合部材 2014年1月
6962 大真空 40%薄い超小型水晶振動子 2014年2月
6981 村田製作所 超微細な積層セラミックコンデンサー 2013年10月
超小型水晶振動子
6963 ローム 回路で電流を調整するチップ抵抗器 -
- 米インテル 半導体「クオーク」 -
目の動きや瞬きで画面操作できる技術

【昭和電工】
昭和電工とマイクロ波化学は、ウエアラブル機器用タッチパネル向け新素材「銀ナノワイヤ」の量産技術を開発。2015年7月からサンプル出荷を開始。2016年にも量産を開始する計画。

指の動きを検知するタッチパネル向けフィルム素材は、現在「酸化インジウムすず(ITO)」が一般的。銀ナノワイヤは折り曲げたりしても高い感知機能を維持。パネルの曲面加工や大型化などが容易になるという。眼鏡型端末などウエアラブル機器への採用を狙う。

【日本ガイシ】
セ氏120度の高温下でも使用できるチップ型リチウムイオン電池「全固定電池」を開発。内部に可燃性の電解液を使わない構造で、高温に強いことからウエアラブル端末など小型機向けの需要が見込まれる。2015年3月までにサンプル出荷を始め、2016年の発売を目指す。

【アルプス電気】
折り曲げ可能なウエアラブル端末向けタッチパネルを開発。専用設備を2014年前半に導入し、量産を開始。2015年度から本格的な量産を開始する。曲面や凹凸のあるディスプレイでも活用できる。

【トッパン・フォームズ】
スマートフォンなどの本体に電子回路を印刷する技術を開発。インク上にした伝導性金属を吹き付け回路を作製。電波を送受信するアンテナ部品を印刷する。現在、アンテナ部品はスマホ1台につき7~8個が内蔵されている。新技術を使えば眼鏡のつるや時計のバンドに電子回路を構成できるようになるという。2015年にも実用化する見通し。

【シャープ】
ウエアラブル端末向けに消費電力を1000分の1に抑えたパネルを開発。2015年春までに量産を開始。月20万~30万枚の出荷を目指す。

【住友電気工業】
電源ケーブルを接続することなく、ウエアラブル端末など電子機器に給電できるワイヤレス給電モジュールを開発。2014年8月からサンプル出荷を開始。2015年春にも量産を開始する計画。

【ジャパンディスプレイ】
腕時計型端末用の小型液晶パネルの量産を開始。パネル内部に組み込んだ反射板に光を当て、画像を表示する。消費電力の80%を占めるバックライトを使わないため、パネル自体を薄くできる。紙に印刷したような画像が表示できるため、ウエアラブル端末のほか、スマートフォンやタブレット、電子書籍端末でも採用を見込む。

【TDK】
2014年11月に小型の電源モジュールの量産を開始。半導体を基板の内部に埋め込むなど実装面積を35%削減し、大幅な省スペース化を実現。変換効率92%を達成した。2014年1月には無線通信の複合部材の量産を開始。スマホと無線接続するための小型モジュールで、集積回路を基板内に埋め込んで小型化した。

【大真空】
時計機能に使う水晶振動子で従来より40%薄い中小型品を開発。2014年2月から量産を開始。

【村田製作所】
超微細なセラミックコンデンサーや超小型水晶振動子に参入。2013年10月から量産開始。

【米インテル】
2013年9月20日、ウエアラブル機器に対応する新たな半導体「クオーク」を発売する方針を表明。また、目の動きやまばたきで画面をスクロールしたり、画面上のボタンを選んだりできる技術を開発。