京都大学の今井裕教授らは、2015年8月19日、ウシで生殖系列細胞を含む全ての組織・器官に分化するiPS細胞の作製に成功したと発表した。従来、マウス以外の哺乳動物でiPS細胞を作製すると、マウスの細胞株とは異なった形態と性質を持つ細胞が樹立されていた。今後は家畜の繁殖改良や希少動物の保護などに役立つという。
研究グループは、ウシの胎児を包む羊膜細胞に4種類の遺伝子を投入。3種類の薬剤も加えてiPS細胞を作製。この細胞を受精卵に入れて子宮に戻すと、複数の個体の細胞が混じり合ったキメラの胎児が育った。90日後に胎児を取り出して調べると、脳や皮膚、胎盤など14種類の臓器や組織細胞にiPS細胞が変化したという。