京都大学は、2018年11月9日、iPS細胞でのパーキンソン病の臨床試験を開始したと発表した。臨床試験は、京都大学iPS細胞研究所の高橋淳教授ら研究グループが実施。神経伝達物質のドーパミンを放出する神経細胞をiPS細胞から作製し、患者の脳に移植。脳内で減っているドーパミンの量を増やす。

計画では7人の患者に移植。2年かけて経過を観察。安全性と体の震えといった症状を軽減する効果があるかなどを確かめる。治験が順調に進めば、2022年にも国に治療法として承認申請する予定。

パーキンソン病は、脳の「黒質」という部分で、神経伝達物質のドーパミンを放出する神経が減少することで発症する。手足の震えや歩行障害などの症状が出る。主に50歳以上で発症し、国内に約16万人の患者がいる。iPS細胞から神経細胞を作り、脳へ移植すれば、神経を再構築できるという。


iPS細胞でパーキンソン秒治療 企業の取組

コード 企業 動き 時期
4506 大日本住友製薬 京都大学iPS細胞研究所と共同研究 京大臨床試験後に実用化
4901 富士フイルムHD 15年に米CDIを子会社化 19年に治験開始計画


【大日本住友製薬】
大日本住友製薬は、2014年5月から京都大学iPS細胞研究所とパーキンソン病に対するiPS細胞由来神経細胞移植の共同研究を開始した。2015年7月からは日立製作所も加わり、患者に移植する神経細胞の大量作製技術や安定供給方法の確立に向けた研究を開始した。京都大学の臨床試験がうまく行けば、大日本住友製薬が国に承認を得た上で、再生医療製品として実用化する。


【富士フイルムホールディングス】
富士フイルムホールディングスは、2015年に子会社化した米CDIを通じて、2019年にパーキンソン病の治験を始める計画。

米CDIは、iPS細胞の開発・製造を行い、良質なiPS細胞を大量に安定生産する技術に強みを持つ。心筋や神経、肝臓など12種類の高品質なiPS細胞を大手製薬企業や先端研究機関などに安定供給。創薬支援や細胞治療、幹細胞バンク向けのiPS細胞の開発・製造を行っている。

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