川崎重工業は水素の調達体制の整備を進めている。2016年に貯蔵やタンクローリーでの大量運搬をしやすくするために水素液化システムを、燃料電池車(FCV)5万台の液化水素を貯蔵出来る大型タンクを開発。また、欧州から低コストの水素を輸入するための水素運搬船を製造。2017年に実証チェーンを実現し、2025年に商用化を目指す。


水素液化システム

水素液化システムを開発。液化能力は1日あたり約5万トンで、燃料電池車(FCV)1000万台分の燃料に相当する。2016年に製品化する見通し。 圧縮した水素を冷却サイクルで冷やされた水素と液化機内で熱交換しながら冷却することで液化水素を製造する。水素を液化すると体積が800分の1になり、利用の際は蒸発させるだけで高純度のガスが得られるため、貯蔵やタンクローリーでの大量運搬がしやすくなる。

項目 内容
製品化 2016年
液化能力 1日あたりFCV1000万台分


大容量水素タンク 

燃料電池車(FCV)5万台の液化水素を貯蔵できる大型タンクを開発。2016年度の実用化を目指す。容量は3500立方メートル。

項目 内容
実用化 2016年
容量 3500立方メートル


豪州から輸入

豪州で未利用資源である褐炭から低コストな水素を製造。日本に輸送し、水素ステーションや水素発電に利用する計画。2017年に実証チェーンの実現に向けて関係先との連携を強化。2025年の商用化を想定する。 600億円を投じ、2500立方メートルの水素を運べる小型船を2隻製造。2030年までに16万立方メートルを運べる大型船を製造し、燃料電池車(FCV)の年間300万台分の供給量を確保する計画。輸入価格は1立方メートルあたり29.8円を見込み、国内流通コストを上乗せし60円となるもよう。

【計画】

計画内容
2017年 実証チェーンの実現
2025年 商用化


【輸送船】

項目 内容
投資額 600億円
対象 水素運搬船2隻
実用化 2017年


水素関連市場

調査会社富士経済によると水素燃料の国内関連事業が2025年に5228億円に拡大する見通し。2014年中の燃料電池車販売開始で水素燃料市場が拡大。2018年頃から水素発電市場が立ち上がり、2020年以降の燃料電池車量産モデルの投入で水素需要が大きく増加。水素ステーションは累計950件稼動、水素燃料市場は1105億円と試算している。

  2025年
水素燃料関連市場 5228億円
水素ステーション 950件
水素燃料 1150億円


業績推移

  売上高 経常利益 純利益 純資産 総資産 自己資本比率
2015年(予) 1兆5700億円 890億円 450億円 - - -
2014年 1兆4861億円 842億円 516億円 4479億円 1兆6622億円 25.9%
2013年 1兆3854億円 606億円 386億円 3766億円 1兆5544億円 23.3%
2012年 1兆2888億円 393億円 308億円 3498億円 1兆4662億円 23%
2011年 1兆3037億円 636億円 233億円 3159億円 1兆3621億円 22.4%
2010年 1兆2269億円 491億円 259億円 2974億円 1兆3542億円 21.3%

 

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