京都大学iPS細胞研究所の高橋淳教授らは、患者自身の細胞から作ったiPS細胞を本人に移植した場合、免疫による拒絶反応がほとんど起きないことをサルを使った実験で明らかにした。8匹のカニクイザルの皮膚などからiPS細胞を作製。神経細胞に育て、4匹は自らの皮膚から作った細胞を、4匹は別のサルの細胞を移植し、免疫反応の違いを調べたところ、別のサルの細胞を移植したサルは拒絶反応が起こったが、自らの細胞を移植したサルは拒絶反応がほとんど起きなかった。 iPS細胞は現在の移植手術と違って他人の細胞や組織を使わないため、拒絶反応が起こらないとされてきたが、マウスを使った実験では拒絶反応が起きたとの報告があり議論が続いていた。 移植した結果では、自身の細胞を移植した場合の生存数は別のサルの細胞を使った時の生存数と比べて約2倍になったという。高橋淳教授ら研究グループは、2015年にも脳の難病であるパーキンソン病にiPS細胞を使う治療を計画している。