宮崎大学と理化学研究所は、2013年8月1日、ヒト型のiPS細胞を変身させてマウス型のiPS細胞に似せることで、目的の細胞に変化する能力を高めることに成功したと発表した。
iPS細胞はマウスやラットなどからできる「マウス型」とサルやウサギなどからできる「ヒト型」とに分かれる。マウス型は、精子や卵子など生殖細胞に変化するなどの能力を持ち、ヒト型よりも質的に優れているとされている。
研究チームはウサギから作ったヒト型のiPS細胞と、別の万能細胞である胚性幹細胞(ES細胞)を使って実験した。試験管内でオリゴデンドロサイトという神経細胞の一種にそれぞれどの程度変化するか調べたところ、ヒト型のiPS細胞が変化する効率は、ES細胞の半分から4分の1にとどまった。そこで、ヒト型iPS細胞で「OCT3/4」という遺伝子の動きを高めるとともに、細胞の培養環境を変えてマウス型に似せたiPS細胞に変化させた。その結果、オリゴデンドロサイトに変わる能力がES細胞より高まった。
研究チームは今後、ヒト型をマウス型に完全に変換させる技術を開発し、iPS細胞の品質をさらに高めるとしている。