iPS細胞を新薬の研究開発に活用する動きが出てきた。新薬の開発にはまず動物実験で基本的な安全を確認。その後、患者を対象とした臨床実験でヒトへの安全性や効き目を評価する。新薬の研究開発には1品あたり平均1000億円、治験の規模に応じて9~17年の期間がかかる。

中外製薬はiPS細胞を使って新薬候補の物質の毒性の有無などをより早い段階で確認できるようにする。最短1日で基本的な安全性の評価が可能となる機器を開発中のもよう。iPS細胞から心筋細胞をつくり、動物実験に入る前に不整脈など重大な副作用を起こさないかを調べることができ、副作用による開発中止を減らせる可能性があることから巨額の研究開発費の削減につながる。2016年をめどに実用化される見通し。

大日本住友製薬は京都大学と共同で難治性希少疾患の新薬候補の調査で利用を進めている。遺伝子の変異に起因する難治性の希少疾患の1つに焦点を当て、iPS細胞を用いて病気が進行するメカニズムを解明。病気の進行を抑える治療法を創成することを目指している。


iPS細胞 新薬の研究開発に活用

企業 内容 実用化
中外製薬 iPS細胞で新薬候補の毒性確認 2016年
大日本住友製薬 難治性希少疾患の新薬候補調査 -