横浜市立大学の谷口英樹教授ら研究グループは、ヒトiPS細胞で小さな肝臓を作り、マウスの体内で働くことを確認した。臓器提供者不足が深刻な肝臓移植に代わる新たな治療法になる可能性がある。子供の肝臓病治療などに役立てる考えで、10年以内の実用化を目指すとしている。 研究チームは、iPS細胞を肝細胞の一歩手前の段階まで育てた。これに血管を作る細胞と細胞同士をつなぐ働きを持つ細胞を混ぜて培養。2~3日後には3種類の細胞が直径5ミリメートルほどの肝臓の種となる塊になった。 これを肝不全のマウスの腹部に移植。1ヶ月後、細胞を移植しなかったマウスは30%しか生き残らなかったが、細胞を移植したマウスは90%生き残ったという。タンパク質の合成や薬の分解など肝臓が本来持つ役割を果たしていた。