厚生労働省の審査委員会は、2013年6月26日、理化学研究所などが申請していたiPS細胞をヒトに移植する臨床研究計画を承認した。厚労省はiPS細胞ががんを起こさないことなどを確認するとの条件付きで、安全性や倫理面で問題は無いと結論。実質的な審査は今回で終了し、7月中旬に厚生科学審議会の科学技術部会で審議され厚労相に答申。理研などが臨床研究を実施する。2014年夏を目途にiPS細胞を使った初の治療が始まる。 治療の対象となるの網膜の中心にある「黄斑」という部分に異常が起こる「滲出型加齢黄斑変性」。視覚機能で重要な役割を果たす黄斑部の機能が低下する病気で、視野の中心部でものがゆがんで見えたり、小さく見えたり、視力が低下するという症状が起こる。国内の50歳以上の約1%に見られるという。 滲出型加齢黄斑変性の原因は、異常な血管が生じ出血が起こることで黄斑部が傷つくことから起こる。治療の為には、異常な血管を取り除き、傷ついた黄斑部を再建する必要がある。 理化学研究所が申請した臨床研究での治療方法は、患者の上腕部から直径4ミリ程度の皮膚を採取し、iPS細胞を作製、シート上にして黄斑部に移植する。シートが完成するまでには約10ヶ月かかるもようで、2014年夏が治療を開始する目途となる。 手術後、1年間は、毎月又は2ヶ月に一度検査が行われる。その後も年に1度、検査が行われ、合計4年間経過観察を行い、安全性や視覚機能への有効性を評価する。