慶應義塾大学の宮田昌悟准教授らは、マウスの胚性幹細胞(ES細胞)とiPS細胞を培養時の下敷きとなる「フィーダー細胞」から簡単に分離できる技術を開発した。
再生医療に使うES細胞などの幹細胞を培養する際は一般にフィーダー細胞を培養皿に敷き、栄養素を与えなければならない。フィーダー細胞はマウスなどの動物の細胞から作る。現在は、培養後にトリプシンという酵素を使いフィーダー細胞から切り離すのが主流だが、その際に細胞が混ざると解析作業に影響し、細胞が傷つくこともある。
今回の技術は、電圧を加えた際の細胞の動き方の違いを利用し、フィーダー細胞からES細胞やiPS細胞を回収する。酵素を使う従来の技術に比べて細胞を傷つけず、簡単な作業で回収できる。試験では回収率が95%に達しており、研究者なら誰でも簡単に装置が操作できるという。
今後は企業と連携し、2~3年後の実用化を目指す。