政府は、iPS細胞などを使った再生医療製品について、医療機関による臨床研究と再生医療メーカーが行う臨床試験の新たな共通ルールを策定に乗り出す。 日本の再生医療はiPS細胞などの研究では世界の最先端を走るが、再生医療製品の実用化では欧米や韓国に引き離されている。2012年末時点で日本が製品化したのは皮膚と軟骨の2品目のみ。これに対し、欧州は20品目、韓国は14品目、米国は9品目と大差をつけられている。 日本メーカーによる製品化に遅れが目立つのは、欧米などに比べ製品の安全性などを確かめる「治験」に膨大な時間とお金がかかるためとされる。医療機関による臨床研究データのかつようも欧米では一般的だが日本では認められない。 こうした問題点をふまえ、政府は2013年5月24日に閣議決定した薬事法改正案で、早期に製造・販売を認める新制度を設ける。 また、医療機関は医師法、メーカーは薬事法で規制されるなど臨床研究と治験に関する共通ルールがないことから製品化に時間がかかっている。経済産業省と厚生労働省は2013年5月29日に共同の作業部会を設立。新ルール作りに着手する。臨床研究と治験の基準を一本化した上で、細胞を培養する際の無菌レベルなど条件を示す見通し。 経済産業省は、薬事法の改正と新ルールで、メーカーが治験に書ける期間はこれまでの7年から2年以内に短縮され、費用も12億円から5億円と約6割削減できる見込み。 政府は作業部会の検討案をたたき台に、2014年春にも施行される再生医療新法案や薬事法改正案の省令に盛り込む。