iPS細胞の主な臨床研究スケジュールをまとめた。2014年夏に滲出型加齢黄斑変性を対象にiPS細胞を使った初の治療が開始。パーキンソン病では臨床応用を2016年に開始する見通し。肝硬変では2014年8月からマウスやラットを使った動物実験が開始される。
iPS細胞の主な臨床研究スケジュール
作製する細胞 | 機関 | 対象疾患など | 臨床研究の開始時期 |
網膜色素上皮細胞 | 理化学研究所など | 加齢黄斑変性 | 2014年夏 |
視細胞 | - | 網膜色素変性 | 2016~2017年 |
血小板 | メガカリオン | 血小板減少症 | 2016~2017年 |
心筋 | 大阪大学 | 心筋梗塞 | 2016~2018年 |
神経幹細胞 | 慶應大学 | 脊髄損傷 | 2018年まで |
角膜 | 大阪大学 | 角膜損傷 | 2018~2020年 |
ドーパミン産生神経細胞 | 京都大学 | パーキンソン病 | 2015~2016年 |
骨・軟骨 | 京都大学 | 軟骨損傷 | 2019年~2020年 |
肝細胞 | - | 肝硬変 | 2020年以降 |
造血幹細胞 | - | 白血病 | 2020~2023年 |
腎臓細胞 | - | 腎臓病 | 2023年以降 |
- | 米アドバンスト・セル・テクノロジー | 血小板など血液の病気 | 2013年めど |
- | 米国立衛生研究所(NIH) | 黄斑変性 | 2013年~2015年 |
【網膜色素上皮細胞】
理化学研究所と先端医療振興財団は「滲出型加齢黄斑変性に対するiPS細胞由来網膜色素上皮シート移植に関する臨床研究」について、世界初の臨床試験実施を申請。2013年6月26日に承認された。2014年夏をめどにiPS細胞を使った初の治療が開始。患者本人の皮膚からiPS細胞を作製し、シート上にして黄斑部に移植する。
【パーキンソン病】
京都大学iPS細胞研究所は、iPS細胞を使ったパーキンソン病の医療研究で、臨床応用を2016年に開始する見通し。2014年6月に安全性審査を開始。2015年1月頃から京都大学が設置予定の第三者委員会による審査が開始。厚生労働省の審査を経て、2015年夏に臨床研究に着手。2016年に移植手術が実施される見通し。 患者の血液からiPS細胞を作製し、大量の神経細胞に成長させて患者の脳に移植。脳内で減っている神経伝達物質「ドーパミン」の量を増やす。
スケジュール | 内容 |
2014年6月 | 京大が厚労省に第三者委員会設置を申請 |
2015年1月 | 京大・第三者委員会がパーキンソン病の臨床研究計画審査を開始 |
2015年春 | 第三者委員会の了承を受け、厚労相に計画を提出 |
2015年夏 | 厚労相の承認を受け、臨床研究開始 |
2016年 | パーキンソン病患者に神経細胞を移植 |
2018年 | 臨床試験開始 |
【肝細胞】
大阪大学の水口裕之教授と医薬基礎研究所などは、iPS細胞を使った肝硬変再生医療研究で、2014年8月からマウスやラットを使った動物実験を開始する。 肝硬変にしたネズミの肝臓に、ヒト由来のiPS細胞から作った肝細胞を移植して肝機能を回復させる。