慶應大学は2017年度中にiPS細胞を使って脊髄損傷の患者を治療する臨床研究を行う計画。 対象は、事故から2~4週間の患者で、10~20人に実施する見通し。神経細胞の再生を促す化学物質と、脊髄の傷口にできたはん痕を溶かす酵素を使った新しい治療法を考案し、動物実験で一定の効果を確かめた。これらをiPS細胞と組み合わせて使い、効果的なリハビリを実施すれば、脊髄を痛めてからかなり時間が経過した患者も治療できる可能性があるという。
患者本人からiPS細胞を作ると半年以上かかる。このため、多くの人に適合しやすいタイプの細胞を集めて貯蔵する京都大学iPS細胞研究所の「iPS細胞ストック」を利用する。 ストックの細胞から神経の基になる細胞を作り、染色体や遺伝子配列の異常の有無の検査を行い、凍結保存。必要に応じて解凍し、患者の脊髄に移植する。 2020年以降の臨床応用を見据えている。