富士フイルムホールディングスは、2019年3月12日、米バイオ医薬品大手のバイオジェンの製造子会社を買収すると発表した。買収額は約980億円。
米バイオジェンの製造子会社は、バイオ医薬品の製造に精通した約800人の人材や1万5000リットル動物細胞培養タンク6基などの大量生産設備を活かして、抗体医薬品をはじめとしたバイオ医薬品を生産している。
富士フイルムは、2000リットルの動物細胞培養タンク、ウイルスなど高度な封じ込めが可能な最新モバイルクリーンルームなどの現有設備に、バイオジェンの製造子会社の大量生産設備を加えることで、生産能力を大幅に増強。少量から大量まで幅広い受託ニーズに迅速に応える。
また、需要が高まっている抗体医薬品やホルモン製剤、ワクチン、遺伝子治療薬まで、あらゆる種類のバイオ医薬品の開発・製造受託に対応できる強みも生かして、さらなるビジネス拡大を図る。
医薬品業界では、新薬開発と製造を分業する流れが進む。新薬開発は巨額投資が必要なほか、成功する可能性が低い。製薬会社は自社で設備を抱えることを避けて、外部に製造を委託する企業が増えている。製造を受託する企業は安定した収益が見込める。