NEDOは、2014年11月7日、バイオ3Dプリンターや細胞シート積層技術などを用いて、iPS細胞などから骨や血管、心臓などの立体組織・臓器を製造する技術開発に着手すると発表した。事業期間は2014年から2019年。総事業費は約25億円。

移植治療に使う長い血管や立体的な臓器は、管や袋のような構造を多くの細胞から作る必要がある。政府の行程表では、2020年前後から心臓病などでiPS細胞を使う治療が見込まれており、体内にある形に近い立体組織を移植する技術の確立を急ぐ。

以下にプロジェクトやテーマの概要をまとめた。


iPS細胞などを用いた立体組織・臓器の開発

【プロジェクト】

項目 内容
事業 iPS細胞などを用いた立体組織・臓器の開発
事業費 25億円
期間 2014年~2019年


【テーマ】

技術 作製 主要企業
3Dプリンター 足場素材と骨や軟骨など 富士フイルム
オリンパステルモマテリアル
血管 -
高分子技術と3Dプリント技術 iPS由来の心筋細胞から立体心筋 東レ
リコー
協和発酵バイオ
- 細胞生存と機能を維持した立体心筋 旭硝子
- 心筋中心部まで栄養分が供給される構造 セルシード
パナソニックヘルスケア


バイオ3Dプリンターで細胞の足場素材と再生組織製造技術 

バイオ3Dプリンターで細胞が住みつくための足場を構築。細胞を注入し、骨、軟骨、半月板、膝関節、皮膚を作製する。

【委託先】
富士フイルム、オリンパステルモマテリアル、シーメット、JMC、東京大学、大阪大学、福田学院大阪保健医療大学、産業技術総合研究所


バイオ3Dプリンターで血管

バイオ3Dプリンターで小口径の血管を作製。現在、合成繊維や樹脂製の人工血管は血栓ができやすく実用化されていないが、当プロジェクトで作製される血管は細胞のみで構成され、血栓ができにくい。人工透析をはじめとする各種臨床ニーズへの応用が期待される。

【委託先】
サイフューズ、佐賀大学、京都府立医科大学


高分子技術と3Dプリント技術でiPS細胞由来の心筋細胞から立体心筋

特定の複数タンパク質で細胞表面を覆う高分子技術とiPS細胞由来の心筋細胞などを精密に配置する3Dプリント技術で、ミクロなレベルから立体心筋を開発。再生医療製品として実用化を目指す。5年以内に動物実験で効果を確かめる計画。

【委託先】
東レ、リコー、協和発酵バイオ、大阪大学、横浜市立大学、弘前大学、名古屋大学


細胞生存と機能を維持した立体心筋

ヒトiPS細胞由来の細胞シートに生体吸収性物質などを挟み込み、酸素や栄養分を供給する仕組みを作ることで、細胞の生存と機能を維持した立体心筋を作製する。再生医療製品としての実用化を目指す。

【委託先】
旭硝子、iHeart Japan、京都大学


立体的心筋の中心部まで栄養分が供給される構造

ヒトの心臓と同等の厚みがある立体的心筋の作製では、中心部で栄養分が枯渇すると細胞が死んでしまう問題がある。生体由来の血管網の上にiPS細胞由来の心筋シートを段階的に積層することで、心筋中心部まで栄養分が供給される構造を作製する。細胞密度の高い立体心筋や管状の心臓を開発し、心機能の代替となる新たな再生医療製品としての実用化を目指す。

【委託先】
セルシード、パナソニックヘルスケア、東海ヒット、コージンバイオ、東京女子医科大学、早稲田大学、慶應義塾大学、大阪大学