米トランプ政権は、2017年4月26日、税制改革案の概要を発表した。連邦法人税率を35%から15%に引き下げ。主要国で最も低い水準に引き下げ。米企業の国外流出の防止や米国企業が節税のために国外に貯め込んでいる2兆ドル(約220兆円)超を米国に環流させ、投資や雇用を積み増す。個人所得税も最高税率を39.6%から引き下げ。税控除などの見直しで、中間層を大幅に減税する。特別目的会社(SPC)などへの投資を優遇する「パススルー課税」も税率を大幅に下げる案も浮上している。輸出を免税し、輸入課税を強化する「法人税の国境調整」は、ドル高や物価高の懸念から見送る。

一方で、財源確保が課題となる。法人税率の1ポイント引き下げで10年間で1000億ドルの税収減になるとされる。トランプ政権の大幅減税は単純に2兆ドルの減収となり、安定した財源の確保が必要になる。税制改革で経済成長率を現在の2%程度から3%以上に高めることを目指す。

なお、予算に絡んだ税制改革案は、ホワイトハウスに法案提出権が無い。議会が立案から決定まで主導するため、共和党の議会指導の意向が重要となる。