日本は、2015年3月9日、10-12月期の実質GDP成長率の改定値を0.4%増、年率換算で1.5%と発表した。企業が抱える在庫が減少し、速報値から下方修正した。

米国は2015年2月28日、10-12月期の実質GDP成長率の改定値を2.2%と発表した。GDPの70%を占める個人消費が速報値の4.3%から4.2%に修正。企業投資は速報値の1.9%から4.8%に修正した。また、2014年通年は2.4%だった。

 

2014年度 各国のGDP推移

見通し 1-3月 4-6月 7-9月 10-12月 2014年
日本(前期比) 1.4%→▲0.5% 1.6% ▲1.8% ▲0.5% 0.4% 0%
米国 2.1~2.3% ▲0.1% 4.6% 5% 2.2% 2.4%
EU 0.9%→0.8% 0.9% 0.7% 0.8% 0.9% 0.9%
英国 3.4% 3.0% 2.6% 2.6% 2.7% 2.6%
ロシア 0.4%→0.3% 0.9% 0.8% 0.7% ▲0.2% 0.6%
オーストラリア 2~3% 3.5% 3.1% 2.7% 2.5%  
韓国 3.8%→3.5% 3.9% 3.6% 3.2% 2.7% 3.3%
台湾 2.59%→3.41% 3.04% 3.84% 3.78% 3.17% 3.74%
中国 7.5% 7.4% 7.5% 7.3% 7.3% 7.3%
ブラジル 2.1%→1.5% ▲0.2% ▲0.6% ▲0.2% ▲0.2%  
トルコ 4%→3.3% 4.7% 2.1% 1.7% 2.6% 2.9%
インド 5~6%→7.4% 4.6% 5.7% 5.3% 6.6% 7.3%
インドネシア 5.5~5.9% 5.1% 5.12% 5.01% 5.01% 5.02%
タイ 3~4%→1.5~2.5%→1% ▲0.6% 0.4% 0.6% 2.3% 0.7%
マレーシア 4.5~5.5% 6.2% 6.4% 5.6% 5.8% 6%
シンガポール   2.3% 2.4% 2.8% 2.1% 2.9%
フィリピン 6.5~7.5% 5.7% 6.4% 5.3% 6.9% 6.1%

 

発表内容

【日本 内閣府】
内閣府は、2015年3月9日、10-12月期の実質GDP成長率の改定値を0.4%増、年率換算で1.5%と発表した。企業が抱える在庫が減少し、速報値から下方修正した。GDPの60%を占める個人消費は0.5%増。自動車や衣料品、飲料などが好調に推移。設備投資は0.1%減だった。

2013年 2014年
10-12月 1-3月 4-6月 7-9月 10-12月
個人消費 0.4% 2.1% ▲5.1% 0.4% 0.5%
設備投資 0.8% 7.7% ▲5.1% ▲0.4% ▲0.1%


【米国 商務省】
2015年2月28日、10-12月期の実質GDP成長率の改定値を2.2%と発表した。GDPの70%を占める個人消費が速報値の4.3%から4.2%に修正。企業投資は速報値の1.9%から4.8%に修正した。また、2014年通年は2.4%だった。

2015年1月30日の速報値では、2014年の実質GDP成長率を2.4%と発表した。10-12月期は2.6%増。GDPの70%を占める個人消費は4.3%。サービスや自動車などの消費財消費が底堅かった。住宅投資は1.9%。民間投資は4.1%だった。

2015年通年では3%前後の成長が予想されている。

  1-3月 4-6月 7-9月 10-12月
個人消費 3% 2.5% 3.2% 4.2%
設備投資 ▲2.1% 5.5% 8.9% 4.1%
住宅投資 ▲5.7% 7.5% 3.2% 1.9%


【EU 統計局】
2015年2月13日、2014年通年の実質GDP成長率を0.9%と発表した。10-12月期は0.9%。原油安でドイツの個人消費が増加。ユーロ安が輸出に寄与した。最大の経済国であるドイツは0.7%、フランスは0.1%、3位のイタリアは農業や製造業などの活動が鈍り0%だった。

前期比 1-3月 4-6月 7-9月 10-12月
ドイツ 0.8% ▲0.2% 0.1% 0.7%
フランス 横ばい ▲0.2% 0.3% 0.1%
イタリア ▲0.1% ▲0.2% ▲0.1% 0%
ECB 2014年 2015年 2016年
GDP 0.8% 1% 1.5%
消費者物価指数 0.5% 0.7% 1.3%


【英国 政府統計局】
2015年1月27日、2014年の実質GDP成長率を2.6%と発表した。10-12月期の実質GDPは2.7%増。GDPの80%を占めるサービス業が0.8%増と経済成長を牽引。石油生産減少や世界経済の懸念を受けて鉱工業生産は0.1%減、建設業活動は1.8%減となった。


【ロシア 連邦統計局】
2015年1月30日、2014年の実質GDP成長率は0.6%と発表した。ウクライナを巡る米欧からの制裁と原油安で通貨ルーブルが下落。経済に打撃を与えている。2015年は最大3%のマイナス成長を見込んでいる。


【オーストラリア準備銀行】
2015年3月4日、10-12月期の実質GDP成長率を2.5%と発表した。オーストラリアドルの高止まりや鉱山投資の減少が続き、商品価格が下落している。

2014年度のGDP伸び率の見通しは2~3%としている。鉱業投資の大幅な落ち込みや予定されている財政緊縮、豪ドルの高止まりが影響する。一方、2015年は2.75%~4.5%と伸びが加速する見通し。


【韓国 韓国銀行】
2015年1月23日、2014年の実質GDP成長率を3.3%と発表した。輸出は2013年の4.3%から2.8%に落ち込み。中国景気の鈍化や韓国企業の海外生産拡大が影響した。また、4月の旅客船沈没事故の影響などから民間消費は1.9%から1.7%に減速した。

2015年1月15日、2015年の実質GDP成長率見通しを3.9%から3.4%に下方修正。2015年4月9日、3.4%から3.1%に下方修正した。世界景気の低迷で輸出の伸びに下押し圧力がかかり、国内の消費心理が悪化する見通し。


【台湾 統計局】
2015年2月16日、2014年の実質GDP成長率の改定値を発表し3.74%とした。また、2015年の見通しは3.78%とした。

2015年1月30日の速報値では3.51%。GDPの70%に相当する輸出は5.63%増。中国など新興国を中心にスマートフォン市場が拡大し、半導体など電子部品の輸出が増えた。民間消費は2.3%増。民間投資など資本形成は4.03%増だった。なお、台湾の潜在的GDP成長率は約3%とみられている。


【中国 国家統計局】
2015年1月20日、10-12月期の実質GDP成長率を7.3%と発表した。2014年通年の成長率は7.4%で、2013年の7.7%から0.3%下落した。不動産市場で在庫増と販売不振から住宅価格が下落し、新規投資や建材などの生産が伸びなかった。

設備投資も含む投資全体を示す固定資産投資は2013年の19.6%から2014年は15.7%。中国GDPの約15%を占める不動産開発投資は19.8%から10.5%。工業生産は鋼材価格の下落や新車販売鈍化で9.7%から8.3%。消費動向を示す社会消費小売り総額は13.1%から12%だった。

2015年9月7日には2014年通年の成長率を7.4%から7.3%に下方修正。金融など第3次産業のデータを引き下げた。

中国は成長ペースを徐々に緩めつつ、7%前後の安定成長維持を目指す。

  2013年 2014年
実質GDP成長率 7.7% 7.4%
固定資産投資 19.6% 15.7%
不動産開発投資 19.8% 10.5%
工業生産 9.7% 8.3%
社会消費小売り 13.1% 12%


【ブラジル 地理統計院】
2015年3月27日、10-12月期の実質GDP成長率を▲0.2%と発表した。投資の減少と鉱工業部門の不振により縮小した。

なお、ブラジル政府は緊縮財政方針。2015年1月には燃料や化粧品、個人向け融資に対する税率を引き上げると発表した。


【トルコ 統計局】
2015年3月31日、2014年の実質GDp成長率を2.9%と発表した。GDPの70%を占める家計最終消費支出は1.3%増。内政混乱と米国の利上げ観測からの資金流出、通貨リラの下落により伸び悩んだ。一方、輸出はリラ安から6.8%増。実質GDP成長率に1.8ポイント寄与した。また、原油安傾向は輸入額とインフレ圧力の低下につながっている。

トルコでは政府・中銀が経常赤字の削減に動けば景気が減速する経済構造問題を抱えている。輸出先の40%をEUが占める輸出産業を振興し、内外の成長をバランス良く取り込む体質に改善することが課題となっている。なお、トルコの潜在成長率は4%台半ばとみられている。2015年の経済成長率は4%上昇する見通し。


【インド インド統計局】
2015年5月29日、2014年の実質GDP成長率を7.3%と発表した。印モディ政権は2015年1月末に国家会計の基準年を2004年から2011年に変更。2014年の成長率見通しを急基準の5~6%から新基準下で7.4%に修正した。

インドは国内の原油消費量の80%を輸入に依存。原油価格の下落でインフレは緩和し、為替も安定。財政赤字の縮小期待が高まっている。


【インドネシア 中央統計局】
2015年2月5日、2014年の実質GDP成長率を5.02%と発表した。主要貿易相手国である日本の景気回復の遅れや中国の景気減速、2014年1月に発効した未加工鉱石の禁輸などが影響した。

インドネシアは中国の景気減速などで石炭などの資源輸出が減少し、貿易・経常赤字。2013年に通貨ルピアが対ドルで大幅に下落し、物価が高騰。中央銀行は利上げを実施する一方、企業の借り入れコストが上昇し、投資活動が減速している。


【タイ 国家経済社会開発庁(NESDB)】
2015年2月16日、2014年の実質GDP成長率を0.7%と発表した。タイでは2013年10月から政情が混乱。2014年2月に実施した総選挙が無効になるなど長期化。予算執行や投資承認が滞り、経済活動に影響した。2014年5月にクーデターで国軍が全権を掌握。2014年10月に総額約3600億バーツ(約1兆3000億円)の景気刺激策を打った。

2014年10-12月期の実質GDP成長率は2.3%増。GDPの50%を占める民間消費は1.9%増。治安回復で外国人観光客も7%増でGDPの10%を占める観光産業が回復基調にある。NESDBは2015年の成長率を3.5~4.5%と予測する。

日付 内容
2014年10月 1.3兆円の景気刺激策
2014年5月 クーデターで国軍が全権を掌握
2013年10月 政情混乱


【マレーシア 中央銀行】
2015年2月12日、2014年の実質GDP成長率を6%と発表した。10-12月期は5.8%。輸出が1.5%と低迷するも、民間消費が7.8%と補った。主力産業であるパーム油などの需要低迷が響いた。

マレーシアは2015年4月に税率6%の消費税を導入する予定。


【シンガポール 通産省(MTI)】
2015年2月17日、2014年の実質GDP成長率を2.9%と発表した。10-12月期は2.1%。主力の製造業の不振が響いた。2015年は2~4%を見込む。

2014年10月14日、半期に1度の金融政策の見直しでは「緩やかで段階的な通貨上昇ペースを維持する」とした。労働力不足による人件費の上昇がインフレの要因になるとの懸念から、金融の引き締めを継続する。

項目 内容
金融政策 緩やかで段階的な通貨上昇ペースを維持


【フィリピン 統計庁】
2015年1月29日、2014年の実質GDP成長率は6.1%と発表した。個人消費が好調、輸出の伸びが前年を上回った。10-12月期は6.9%だった。フィリピンではGDPの70%を占める個人消費を世界各国で働く出稼ぎ労働者からの送金やサービス産業の発展により下支えしている。

2015年の実質GDP成長率目標は7~8%としている。