オバマ米大統領は、2014年8月7日、勢力を広げるイスラム過激派「イスラム国」への限定的な空爆を承認。イラク北部で「イスラム国」に追われてクルド少数派やキリスト教徒らへの迫害が深刻化。イスラム過激派による少数派民族の虐待防止や重要施設の防衛、住民向けの人道支援などを実施してきた。

しかし、2014年9月10日、空爆範囲をイラクからシリアに拡大する意向を表明。包括的で持続可能な戦略によって「イスラム国」を弱体化。最終的な壊滅を目指すとした。イラク政府と協力し、米要員保護と人道支援以外にも空爆を広げる。イラク政府軍を支援するため、米軍475人を追加派遣し、訓練や情報収集にあたる。イラク新政権の発足を踏まえ幅広い「有志連合」づくりを主導する。また、シリア反体制派を訓練し、装備を供与できる権限を米議会に求める方針。

一方、「米軍の地上部隊が国外で戦うことはない」とし、米地上部隊の派遣は否定した。


イスラム国 限定空爆

  8月 9月
対象 イスラム過激派「イスラム国」
目的 少数民族の虐殺防止 「イスラム国」の弱体化。最終的な壊滅
重要施設の防御

【空爆対象推移】

内容
8月17日 モスル近郊にあるイラク国内最大のダム周辺に空爆範囲を拡大
8月30日 アミルリ近郊のイスラム国拠点に空爆を拡大
9月10日 イラクからシリアに拡大