東京都は2020年の東京五輪会場整備計画の再検討を始めた。新設する予定の10施設の整備費が従来見通しの1538億円から建設費の高騰で3800億円になると試算。五輪開催のために積み立てた約4100億円の基金を食いつぶす恐れが出てきた。

2014年11月19日に、3施設の建設を中止すると発表。会場計画の見直しで約2000億円を圧縮する。


オリンピックスタジアムの建設

日本スポーツ振興センター(JSC)は、東京五輪の主要会場となる新国立競技場の施工予定者に大成建設と竹中工務店を選んだ。スタンドなど本体部分を体制建設が、屋根を竹中工務店が受け持つ。総事業費は従来見通しの約1300億円から1625億円に上方修正。さらに2500億円に修正し、2520億円で契約される見通し。2015年10月に着工し、2019年5月に完成する予定。

【施工予定者】

コード 企業 工事部分
1801 大成建設 本体部分
- 竹中工務店 屋根

【建設】

項目 内容
総事業費 2520億円
着工 2015年10月
完成 2019年月


オリンピック施設の建設費用見通し

会場名 競技 建設費用 改良
オリンピックスタジアム 陸上競技、サッカーなど 2520億円 -
選手村 - 954億円 -
日本武道館 柔道 - 39億円
夢の島ユースプラザアリーナA バトミントン 364億円→中止 -
夢の島ユースプラザアリーナB バスケットボール
オリンピックアクアティスセンター 水泳 321億円 -
有明アリーナ バレーボールなど 176億円 -
有明テニスの森 テニスなど - 59億円
若洲オリンピックマリーナ セーリング 92億円→中止 -
海の森水上競技場 ボート、カヌー 69億円 -
大井ホッケー競技場 ホッケーなど 25億円 -
葛西臨海公園 カヌー 24億円 -
夢の島公園 アーチェリー 14億円 -

 

オリンピックへのインフラ整備見通し 

国土交通省は国際線発着枠の拡大や割高な着陸料の引き下げなどを検討。発着枠は現状の67万回から75万回まで増やすことが決まっている。羽田空港では滑走路やターミナルを増設する案が浮上。また、大型クルーズ船の寄港回数を増やすため、東京都は五輪までに新たなターミナルを整備する方針。

道路では都心の渋滞解消のため、放射線状に伸びる道路を結ぶ首都高速中央環状線、東京外郭環状道路、圏央道の3環状道路の整備が進んでいる。観客の輸送は地下鉄やバスなど公共交通機関が主力で、駅などがバリアフリー化される。新幹線網は北陸が金沢、北海道が函館まで伸びており、国内観光・海外チームの事前合宿地としての利便性向上が見込まれる。

分野 内容 計画
空港 羽田・成田空港の年間発着枠の拡充 2014年度の75万回からの増枠を検討
道路 圏央道、外環道、中央環状線の3環状道路の整備 2020年度までに90%完成
鉄道 羽田・成田空港を結ぶ「都心直結線」を整備 2020年代開業予定を前倒し