日本製紙のセルロースナノファイバー(CNF)の生産能力が2017年から増加することから注目される。宮城県石巻工場に情報機器のディスプレイなどに使うCNFを大量生産する設備を2017年4月に稼働。島根県の事業所に食品・化粧品向けのCNFを量産する設備を2017年9月に完成させる。また、静岡県富士工場に自動車、建材、家電など幅広い産業向けCNFの実証生産設備を2017年6月に設置する。

日本製紙は、2015年10月に発売を開始した抗菌・消臭機能を持つ機能性CNFの利用拡大に努めるほか、CNFの特徴である粘性や保水性を活かした機能性付加剤用途についても実用化する予定。

また、ガラス繊維並みの熱寸法安定性や酸素などを透過しない特徴を利用した「機能性シート」用途、軽量化と強度向上を目的とした樹脂やゴムとの「ナノ複合材」用途など、CNFの有望用途で早期の市場獲得を目指す。


【日本製紙のセルロースナノファイバー 2017年の主な注目点】

注目点
情報機器のディスプレイなど向けCNFの生産設備稼働 2017年4月
食品・化粧品向けCNFの量産設備完成 2017年9月
自動車・建材・家電など幅広い産業向けCNFの実証生産設備の設置 2017年6月


日本製紙のセルロースナノファイバー 生産能力増強投資

【自動車・建材・家電など幅広い産業向けCNFの実証生産設備】
自動車、建材、家電など幅広い産業向けCNFの実証生産設備を静岡県富士工場に設置する。稼働は2017年6月。生産能力は年10トン以上。CNFをナイロン樹脂などに約30%混ぜて、強度を高めた樹脂を生産。コストを10分の1に抑えられる見込み。

項目 内容
生産 自動車や建材、家電など幅広い産業向けセルロースナノファイバー
生産量 10トン
稼働 2017年6月


【食品・化粧品向けCNFを量産】
食品・化粧品向けのセルロースナノファイバー(CNF)の量産設備を整備。投資額は約11億円。年間生産量は30トン。完成は2017年9月。将来的に100トンまで増産可能な能力設備を予定している。

項目 内容
投資額 11億円
生産 食品・化粧品向けセルロースナノファイバー
生産量 30トン
完成 2017年9月


【宮城県にCNF量産設備を建設】
宮城県石巻工場に情報機器のディスプレイなどに使うCNFを大量生産する設備を建設。投資額は16億円。生産能力は年500トン。稼働は2017年4月。

項目 内容
投資額 16億円
生産 情報機器のディスプレイなど向けCNF
生産量 500トン
完成 2017年4月


日本製紙のCNFの戦略

CNFそのものを提供するだけでなく、サプライチェーン下流での事業確立を目指す。CNFで強化した樹脂やゴムの一次加工品、CNFの透明性・ガスバリア性などを活かした包装材、機能紙、フィルターといった最終製品も視野にいれる。


日本製紙の業績推移

  売上高 経常利益 純利益 純資産 総資産 自己資本比率
2017年(予) 1兆500億円 300億円 150億円 - - -
2016年 9924億円 269億円 83億円 4349億円 1兆3888億円 31%
2015年 1兆70億円 171億円 24億円 4246億円 1兆3909億円 30.3%
2014年 1兆524億円 232億円 231億円 4897億円 1兆4956億円 32.5%
2013年 1兆812億円 281億円 227億円 4265億円 1兆4808億円 28.6%

 

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