旭化成は、2015年10月14日、三井不動産グループが販売した横浜市のマンションが傾いている問題で、子会社の旭化成建材が請け負った杭工事でデータの転用や加筆があったと発表した。

旭化成建材は三井住友建設の2次下請けとして、杭を建物の地盤に固定する工事の現場を管理。虚偽データが使われた杭が強固な地盤に達していなかった。

旭化成建材は、調査や建物の補強・改修工事などに要する費用の全額を負担する。


旭化成建材 施工データ改ざん問題

項目 内容
影響 調査や建物の補強・改修工事費用を全額負担
全国のマンションや施設を調査
マンション建て替え・買取提案

【杭打ち建物を全て調査へ】
旭化成は子会社の旭化成建材が杭打ちしたマンションや商業施設について、記録が残る過去の地盤データを全て調査する方針を表明。対象データは約10年分で、約3000棟となる見込み。旭化成建材が保管している地盤データを検証。改ざんが疑われる建物については掘削調査を実施する。

旭化成は、データ改ざんの原因について、現時点では「子会社の担当者がデータの測定に失敗し、手元にある別のデータを転用した可能性が高い」としている。

項目 内容
調査 3000棟


【マンション建て替え・買取提案】
三井不動産レジデンシャルは、マンションの住民に対し、傾いた棟を含む全4棟の建て替えを行うことを提案したもよう。また、住戸を購入価格以上で買い取る方針も示したもよう。

4棟全てを建て替えると、費用は200億円以上、期間は3年以上かかるとの試算もある。また、建て替えに伴い、仮住まいの費用も負担するもよう。

項目 内容
建て替え 200億円以上、3年以上、仮住まい費用を負担
買い取り 住戸を購入価格以上で買い取り


旭化成の業績推移

  売上高 経常利益 純利益 純資産 総資産 自己資本比率
2015年(予) 2兆円 1615億円 910億円 - - -
2014年 1兆9864億円 1665億円 1056億円 1兆977億円 2兆145億円 53.7%
2013年 1兆8977億円 1428億円 1012億円 9257億円 1兆9150億円 47.7%
2012年 1兆6666億円 951億円 537億円 8244億円 1兆8001億円 45.1%
2011年 1兆5732億円 1075億円 557億円 7192億円 1兆4105億円 50.1%
2010年 1兆5559億円 1182億円 602億円 6756億円 1兆4258億円 46.5%


【住宅・建材事業】

  2013年 2014年
売上高 5894億円 6038億円
営業利益 685億円 630億円
営業利益率 11.6% 10.4%