再生可能エネルギーを用いて水素を生成・貯蔵・輸送・利用する仕組み構築に向けた動き。経済産業省は2040年頃までに再生エネルギー由来の水素などを活用したトータルで二酸化炭素フリーな水素供給システムの確立を目指している。
トヨタ自動車や神奈川県などは、風力発電で水素を作る実証プロジェクトを開始。期間は2016年4月から2020年。経済産業省や東京ガス、千代田化工建設などが参加する「水素・燃料電池戦略協議会」は太陽光や風力発電で作った電気で水素を作る実証実験を開始。開始は2016年度。東芝は太陽光、風力発電を用いて水素を作る実証実験を英国で開始。期間は2015年から2020年。独シーメンスは風力発電などを用いて水素を作り、発電や燃料電池車などに活用する実証実験を日本で実施。2020年までに供給を開始する方針。
実証実験
企業 | 実証実験内容 | 期間 |
トヨタ自動車 | 風力発電で水素製造 | 2016年4月~2020年 |
岩谷産業 | ||
東芝 | ||
東京ガス | 太陽光や風力発電所で水素を製造 | 2016年度~ |
千代田化工建設 | ||
東芝 | 太陽光や風力発電で水素を製造 | 2015年~2020年 |
独シーメンス | 風力発電などで水素を製造。発電や燃料電池車に活用 | 2020年 |
【水素・燃料電池戦略のロードマップ】
経済産業省が2014年6月に公表した水素・燃料電池戦略のロードマップ。3つのフェーズで課題を解決し、水素社会の実現を目指す。
「利用」段階では、低置用燃料電池と燃料電池自動車の普及を進め、水素発電などへの利活用分野を拡大する。「輸送・貯蔵」段階では、2020年後半までに海外資源の活用による安価な水素価格を実現。水素を含む新たな2次エネルギー構造の確立を図る。「製造」段階では、2040年頃までに再生可能エネルギー由来の水素などを活用したトータルで二酸化炭素フリーな水素供給システムを確立する。
フェーズ | 内容 |
利用 | 燃料電池と燃料電池車の普及拡大 |
輸送・貯蔵 | 2020年後半までに安価な水素価格を実現 |
製造 | 2040年頃までにCO2フリーな水素供給システムを確立 |
事業
企業 | 内容 |
旭化成 | 石油プラントなど産業用に供給 17年度中に独で受注を目指す |
【旭化成】
再生可能エネルギーで水素を製造し、石油プラントなど産業用として供給する。まずは2017年度中にドイツでの受注を目指す。ドイツでは2022年に全ての原子力発電所の運営を停止し、風力など再生可能エネルギーで多くの電力を賄う計画が進んでいる。