水素ステーション建設には高コストという課題がある。ガソリンスタンドの建設コストは7000万円から1億円だが、水素ステーションは4億円から5億円かかるとされる。そのため、政府は水素ステーションの建設コストを2020年までに2億円にするという目標を掲げる。一方、欧州では水素ステーションに関する制度整備が進み、1億円台での建設が可能という。なお、政府は水素ステーションを2015年に全国で100ヶ所設置することを目標としている。


水素ステーション関連銘柄

コード 企業 内容
5020 JXHD 13年4月にガソリンスタンドと併設した水素ステーションを開設
16年に水素ステーションの建設数を100ヶ所に
化石燃料から水素を従来より20%多く取り出す装置を開発
水素を液体化し、常温・常圧でトレーラーで運ぶ技術を開発
8088 岩谷産業 13年5月に東邦ガスと愛知県で商用仕様の水素ステーションを設置
14年7月に兵庫県に商業用水素ステーションを設置
15年3月に東京都心に水素ステーションを設置
15年に20ヶ所の水素ステーション設置を計画
40億円を投じて水素などのガス研究所を建設
14年9月に設置コスト5000万円の小型水素ステーションを設置。18年頃実用化へ
7267 ホンダ
9531 東京ガス 東京都と埼玉で水素ステーションを建設。15年に運転を開始
8015 豊田通商 仏大手と提携し14年中に愛知県2ヶ所に水素ステーションを設置
9532 大阪ガス 大阪府に水素ステーション建設。15年に運営開始
LPGがら水素作製。25年までに100ヶ所整備
4091 大陽日酸 水素ステーションの主要機器をパッケージ化
5659 日本精線 有機ハイドライドから水素を取り出す特殊ワイヤ材料
6301 加地テック 水素を圧縮する圧縮機を小型化


【JX日鉱日石エネルギー(JXホールディングス)】
ガソリンスタンドと併設した水素ステーションを開設。2014年に19ヶ所、2015年に40ヶ所、2018年に100ヶ所を建設する計画。2020年をめどに国内10拠点で水素製造設備を新設し、北海道から九州まで全国に供給できるようにする方針。水素ステーションの運営や水素の調達・供給を手がける子会社を設立。既存のガソリンタンクに水素スタンドを併設するほか、首都圏や地方の主要都市に水素供給専用の拠点を新設する。

  2014年 2015年 2016年
水素ステーション 15ヶ所→19ヶ所 40ヶ所 100ヶ所

 
【岩谷産業】
2013年5月に東邦ガスと共同で愛知県に商用仕様の水素ステーションを設置。2014年7月に兵庫県に商業用を設置。2015年3月に東京都心にも完成予定。2015年中に計20ヶ所建設する計画。パッケージ型の機器による水素ステーションの省スペース化や短工期化でのコストの低減、大容量・直充填技術の評価などを行っている。

また、40億円を投じて水素などのガス研究所を建設。超低温の液化水素を安全に輸送・貯蔵したりする技術や水素を効率的に圧縮する技術研究を行う体制を整備。

独リンデは岩谷産業との合弁で水素充塡システムを日本で生産する。液化水素を専用装置で気体に戻し、高圧にして自動車に供給する仕組みを、専用ポンプだけで液化水素を高圧水素にして注入する仕組みを目指す。岩谷産業は海外のポンプを日本で設置できるよう高圧保安協会と調整。2015年にも生産に着手する計画。


【ホンダ】
2014年9月、小型の水素ステーションを岩谷産業と共同でさいたま市に設置。コンプレッサーが不要な高圧水電解システムを採用し、高圧水素タンクから充電ノズルまでの主要構成部位をパッケージ型に収納。設置コストを5000万円程度に抑えた。3年程度の実証実験を行い、2018年頃の実用化を目指す。


【東京ガス】
東京都練馬区とさいたま市の2ヶ所に燃料電池車向けの水素ステーションを建設。練馬区は2013年7月、さいたま市は2013年秋頃建設に着手し、2015年に運営を開始する。設備施設には経済産業省の補助金交付を受ける。


【豊田通商】
仏エア・リキードと提携し2014年中に愛知県内2ヶ所に水素ステーションを設置する計画。エア・リキードは欧州を中心に60ヶ所に水素ステーションを設置した。豊田通商は日本での行政との規制対応やステーションの収支管理を請け負う。


【大阪ガス】
大阪府に水素ステーションを建設。2014年秋に建設に着工し、2015年春に運営を開始する計画。投資額は5~6億円。また、家庭用燃料に使う液化石油ガス(LPG)から燃料電池車用の水素を作る装置を2014年内に開発。2025年までに100ヶ所への整備を目指す。都市ガスやタンクに収納したLPGから水素を作るため、水素輸送専用車両や備蓄タンクが不要になるという。


【日本精線】
石油由来の液体「有機ハイドライド」から水素を取り出す特殊ワイヤ材料の実用化を目指している。特殊な輸送方法が必要な液体水素と違い、常温常圧の有機ハイドライドは既存のスタンドやタンクローリーを活用できる。


移動式水素ステーション

豊田通商と岩谷産業、太陽日酸は、3社共同出資で移動式水素ステーションの運営会社を設立。2015年3月下旬をめどに営業を開始。東京都に1ヶ所、愛知県に2ヶ所開設する予定。

燃料電池車(FCV)の需要が見込まれる一方で、水素ステーションの運用場所不足が懸念される時期において、水素を供給する運用場所を確保する。豊田通商は事業運用管理を、岩谷産業と太陽日酸は水素供給設備の整備、新会社への水素供給、現場管理を行う。設備調達にかかる資金は三井住友ファイナンス&リースのリースを活用する予定。

移動式水素ステーションの価格は1台2~3億円で、定置型ステーションの半分で済むという。2016~2017年をめどに移動式水素ステーションの価格を1台1億円台に引き下げ定置型ステーションの半分に、2025年までに300台を供給する計画。

コード 参加企業 内容
8088 岩谷産業 移動式水素ステーションの製造
4091 太陽日酸
8015 豊田通商 事業運用管理

 

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