自動車メーカーで、電気自動車(EV)向けの大型投資や走行距離が短いEVの弱点を克服した車両の投入を目指す動きが出ている。
米テスラ・モーターズは、大規模な電池工場の建設を計画。2020年には年間50万台のEVに搭載する計画。総投資額は最大50億ドル(約5000億円)で、2016年にも稼働する見通し。米フォード・モーターは、2020年までにEV開発に45億ドル(約5400億円)を集中投資。13種類のハイブリッド車(HV)やEVを製品化し、販売する車の40%をモーター駆動の車にする方針。
また、独フォルクスワーゲン(VW)の子会社ポルシェは、1回の充電で500キロメートル以上の走行が可能な新型EVVの開発に10億ユーロ(約1340億円)を投資し、2020年までに発売する計画。VW子会社アウディも1回の充電で500キロメートル走行できる多目的スポーツ車(SUV)のEVを2018年に発売する計画を持つ。
そこで、車載用リチウムイオン電池の重要性や開発、関連企業など車載用リチウムイオン電池関連で注目しておきたい情報ををまとめた。
車載用リチウムイオン電池の重要性
車載用リチウムイオン電池とは、EVやプラグインハイブリッド車(PHV)などに搭載される電池。正極と負極の2つの電極間にセパレータを挟み、内部を浸す電解液を通じてリチウムイオン電池が行き来することで充放電する。同じ質量では、ニッケル水素電池の3倍、鉛蓄電池の7倍の電気を蓄えることができる。
ガソリン車が1度の給油で走行できる距離は約600キロメートル。EVに搭載される標準的なリチウムイオン電池では1回の充電で走行できる距離は約200キロメートル。より高性能な車載用リチウムイオン電池の開発が重要になる。
車種 | 1度の給油・充電での走行距離 |
ガソリン車 | 600キロメートル |
EV | 200キロメートル |
走行距離を伸ばすリチウム電池の開発
ジーエス・ユアサコーポレーションは、独ボッシュや三菱商事と次世代リチウムイオン電池を生産するもよう。2017年から量産を始める計画。次世代電池は走行距離を2倍にしながら小型化されるという。
開発企業 | 開発対象 | 出荷計画 |
GSユアサ | EVの走行距離を2倍にする次世代リチウムイオン電池 | 2020年 |
ボッシュ | ||
三菱商事 |
リチウムイオン電池の主な関連企業
企業 | リチウムイオン電池関連 |
パナソニック | テスラ向けにリチウムイオン電池を供給 |
住友化学 | セパレータをパナソニックのリチウムイオン電池向けに供給 |
住友金属鉱山 | ニッケル産リチウムをパナソニックに供給 |
日立化成 | リチウムイオン電池の負極材で世界シェア30% |
旭化成 | リチウムイオン電池向けセパレータ |
リチウムイオン電池市場
リチウムイオン電池市場は、2020年の2兆円から2020年には8兆円まで拡大すると見込まれている。EVや携帯端末向けの需要が拡大する。
2012年 | 2020年 | |
リチウムイオン電池市場 | 2兆円 | 8兆円 |