石油の国内需要は人口減や自動車の燃費改善などで減少。供給力は約20~30%の過剰とされている。
経済産業省は2014年1月に施工した産業競争力強化法を適用し、石油業界の供給力を調査。2014~2016年を期限とした製油所の削減計画や他社の製油所との統合など合理化を進めさせる方針。合理化への取組が著しく不十分な企業は経済産業省による勧告や命令、罰金を科すことも検討する。
石油業界再編への動き
企業 | 内容 |
出光興産 | 昭和シェル石油を買収交渉 |
コスモ石油 | 16年までに20~30%削減 |
東燃ゼネラル石油 |
【出光興産】
千葉製油所で2015年4月から日量2万バレルの処理能力を削減する。出光興産は全社で日量55万5000バレルの処理能力を持ち、千葉施油所で5~6万バレルを削減する方針。
出光興産は経済産業省が提示する基準で、原油処理能力を11%以上削減する必要がある。
【東燃ゼネラル石油】
日量約27万バレルの原油処理能力を持つ川崎工場で日量約1万バレルの精製能力を削減する。東燃ゼネラル石油は国内3ヶ所に製油所を持ち、処理能力は全体で日量約55万バレル。
【出光興産 昭和シェル石油】
昭和シェル石油買収へ交渉に入ったと報道された。2015年度前半をめどにTOB。買収総額は5000億円規模としている。規模拡大で原油の買付や輸送コストを低減。全国に6ヶ所ある製油所の設備に最適な石油製品を作り、生産効率を高める。販売面でも約8000ヶ所ある給油所網を統廃合し、収益力を高める。
【コスモ石油・東燃ゼネラル石油】
2014年度中に共同事業会社を設立し、2016年度までに石油精製能力を20~30%削減するもよう。100~200億円を投資し、製油所同士を結ぶパイプラインの設備などを一体運営に向けて改修。パイプラインを通じた半製品の相互融通や原油の共同調達を進める。産業競争力強化法の適用を申請し、実際の投資負担額を最大半分に軽減できる見通し。
成長投資
企業 | 内容 | 稼動 |
JXエネ | ベトナムで製油所新設へ | 2020年半ば |
昭和シェル石油 | 石油化学材料量産 | 2016年 |
出光興産 | ベトナムで製油所建設 | 2017年 |
【JX日鉱日石エネルギー】
ベトナム・ペトロリメックスへの出資と製油所新設について独占交渉。ペトロリメックスと合弁で日量約20万バレルの製油所新設を計画。投資額は4000~5000億円。稼動開始は2020年半ばを予定。
【昭和シェル石油】
100億円を投資し、ポリエステル繊維やペットボトルの原料であるミックスキシレンなど石油化学材料を2016年後半にも量産開始。アジアでの需要の伸びにに対応。
【出光興産】
出光興産、三井化学、クウェート国際石油、ペトロベトナムと合弁でベトナム・ニソン製油所を建設。総投資額は90億ドル(約9800億円)。50億ドルをプロジェクトファイナンスで調達。出光興産は14億ドル(約1512億円)を負担する。2017年に商業運転開始。精製能力は日量約20万バレル。