トルコには、ドル高リラ安の進行と原油価格の上昇による物価上昇への懸念がある。米国が利上げ局面に入った中、利下げはリラ下落につながり、インフレ圧力を高める。一方、エルドアン大統領は「高金利のせいでインフレ率が下がらない」とし、中銀に圧力をかけていることから、利上げは政治的に難しい。原油では、原油価格が10ドル下落するごとに経常赤字が4億ドル(約480億円)縮小すると試算されている。
また、経常赤字国のトルコは、工場建設から消費者ローンまで成長に必要な資金を海外に頼っている。企業は外貨建ての債務返済に苦しむ。
トルコの対外債務は2018年3月末時点で4666億ドル(約52兆円)となっている。
項目 | 内容 |
金利 | ドル高リラ安で物価上昇懸念 |
原油 | 原油価格上昇で物価上昇懸念 |
経常収支 | 赤字で企業は外貨建て債務の返済が重み |
トルコの政策金利とGDP
項目 | 内容 |
政策金利 | 17.75% |
GDP | 7.4% |
トルコのエルドアン大統領の動き
トルコのエルドアン大統領は、2018年8月12日、「自分が生きている限り、金利の罠にはおちない」とし、トルコ中央銀行による政策金利引き上げを阻む考えを示した。通貨リラ下落の原因の1つである米国との対立については「政治的陰謀」「降伏はしない」とし、対決姿勢を鮮明にした。IMFに支援を仰ぐ可能性についても「政治的主権を放棄しろというのか」とし、否定した。
項目 | 内容 |
政策金利 | 自分が生きている限り、金利の罠にはおちない |
米国との対立 | 降伏はしない |
IMFによる支援 | 否定 |