日本は2014年3月10日、10-12月期の実質GDP成長率の改定値を発表し、0.3%から0.2%に、年率換算は1.0%から0.7%に下方修正した。個人消費が0.5%から0.4%に、設備投資が1.3%から0.8%に修正されたことが影響した。2013年通年の実質GDP成長率も1.6%から1.5%に下方修正された。 米国は2014年3月27日、10-12月の実質GDP成長率確報値を発表し、改定値の2.4%から2.6%に上方修正。ユーロ圏は2014年2月14日、10-12月期GDPが0.3%増、年率換算で1.1%増と発表した。ドイツが輸出や設備投資が堅調で0.4%増、フランスは投資や家計が好調で0.3%増、スペインは0.3%増だった。一方、イタリアは0.1%増にとどまった。
2013年度 政府・中央銀行のGDP統計推移
4-6月 | 7-9月 | 10-12月 | 年率換算 | 見通し | 2013年 | |||
4-6月 | 7-9月 | 10-12月 | ||||||
日本 | 0.9% | 0.3% | 0.2% | 3.8% | 1.1% | 0.7% | 2.8% | 2.3% |
米国 | 2.5% | - | - | - | 3.6% | 2.6% | 2.0% | 1.9% |
EU | 0.3% | 0.1% | 0.3% | 1.1% | 0.4% | 1.1% | - | |
英国 | 0.6% | - | 0.7% | 2.4% | - | 2.8% | - | |
ロシア | 1.2% | 1.2% | - | - | 1.8% | |||
オーストラリア | 0.6% | - | 0.8% | - | - | - | ||
韓国 | 1.1% | 1.1% | 0.9% | 4.4% | - | - | 2.8% | 2.8% |
台湾 | 2.27% | 1.58% | - | - | - | 1.74% | 2.19% | |
中国 | 7.5% | 7.8% | 7.7% | - | 9.0% | - | 7.5% | 7.7% |
ブラジル | 3.3% | ▲0.5% | 1.9% | - | - | - | 2.5% | 2.3% |
メキシコ | ▲0.74% | - | - | - | ||||
トルコ | 4.4% | 4.4% | - | - | - | 4.1% | ||
インド | - | - | 4.7% | - | - | - | 4.9% | 4.7% |
インドネシア | 5.8% | 5.4% | 5.72% | - | - | 5.5%~5.9% | 5.78% | |
タイ | 2.8% | 1.3% | 0.6% | - | - | 2.4% | 3% | 2.9% |
マレーシア | 4.3% | - | 5.1% | - | - | - | 4.5~5% | 4.7% |
シンガポール | 3.7% | - | - | 15.2% | ▲1.0% | 6.1% | 3.5~4% | 4.1% |
フィリピン | 7.5% | 7% | - | - | - | - | 6~7% | 7.2% |
発表内容
【日本 内閣府】
2014年5月15日、2013年度の実質GDP成長率は2.3%と発表した。大規模な金融緩和や財政政策で景気が回復。輸出の伸びが鈍く外需が全体を押し下げたが、個人消費が全体を牽引した。。 日本政府は2014年度の実質GDP成長率を1.4%、名目GDP成長率を3.3%程度とする方針。輸出や設備投資の伸びは鈍るものの、2013年12月にまとめた5.5兆円規模の経済対策が下支えする見通し。
2014年度 | |
実質GDP成長率 | 1.0%→1.4% |
名目GDP成長率 | 3.1%→3.3% |
【米国商務省】
2014年3月27日、10-12月期の実質GDP成長率確報値を発表し、改定値の2.4%から2.6%に上方修正した。速報値では個人消費が3.3%増、輸出が11.4%増、民間住宅投資が9.8%減、政府支出が4.9%減だった。なお、米国の潜在成長率は2%前半とされている。
【EU統計局】
2014年2月14日、10-12月期GDPが0.3%増、年率換算で1.1%増と発表した。ドイツが輸出や設備投資が堅調で0.4%増、フランスは投資や家計が好調で0.3%増、スペインは0.3%増だった。一方、イタリアは0.1%増にとどまった。
【英国政府統計国】
2014年1月28日、10~12月の実質GDP成長率を0.7%と発表した。年率換算で2.8%。GDPに占める割合が最も大きいサービス業は0.8%増加。製造業は0.9%、鉱工業生産は0.7%増加。建設業は0.3%減。
【ロシア経済発展省】
7-9月のGDP速報値は前年同期比で1.2%となった。1-8月の石油輸出額は輸出先の欧州景気低迷で5.6%減の1129億ドル(約11兆円)。牽引役の個人消費(小売売上高)は銀行が個人ローンの供与を急速に絞った提供で3.8%増と増加率は前半の約半分に落ち込んだ。固定資産投資は外国からの直接投資は20%増えたが、国内企業は慎重で海外への資金流出が続いており、1.4%減となった。ロシア政府は通期GDP伸び率を1.8%と予想している。
【オーストラリア準備銀行】
2014年3月5日、10-12月期の実質GDP成長率を0.8%と発表した。家計支出が0.8%増でGDPを0.4ポイント押し上げた。輸出は2.4%増、機械・設備投資は8.8%減少した。 また、2013年11月8日、2014年度のGDP伸び率を2.5~3.5%から2~3%に引き下げた。鉱業投資の大幅な落ち込みや予定されている財政緊縮、豪ドルの高止まりの影響を反映した。また、2015年は2.75~4.5%と従来通り伸びが加速するとしている。
【韓国 中央銀行】
2014年1月23日、10-12月期GDP速報値が0.9%増となったと発表した。民間消費が0.9%増、設備投資が6.4%増となった。輸出は2.0%増で自動車・部品、機械、石油化学製品が牽引。輸入は2.1%増と機械・金属製品が牽引した。また、2013年通年の成長率は2.8%となった。韓国中銀は2014年の成長率を3.8%と予想している。
【台湾統計局】
2014年1月28日、2013年のGDP成長率を2.19%と発表した。輸出は前年比3.78%増。スマートフォン用の半導体輸出が好調を維持した。一方、夏以降の中国でのテレビ在庫調整で液晶パネルの出荷や価格が減退。ノート型パソコン関連部品の出荷も減った。民間消費は1.77%増。秋以降の株式相場の上昇で消費者マインドが回復した。民間投資などの資本形成は4.25%増。半導体受託生産で企業による積極投資継続が貢献した。 台湾当局は2014年のGDP成長率見通しを2.59%と予測している。
【中国 国家統計局】
2014年1月20日、10-12月のGDP成長率は7.7%となったと発表した。また2013年のGDP成長率は7.7%で、中国政府が目標としていた7.5%を上回った。2013年の成長率に投資が寄与した割合は54.4%と過半を占めた。中国政府が2013年夏に鉄道建設などインフラ整備を重視する方針を表明し、製造業の生産が秋にかけて持ち直した。
【ブラジル 地理統計院】
2014年2月27日、10-12月の実質GDP成長率が1.9%となったと発表した。輸出は4.1%増加した一方、鉱工業生産は0.2%減少した。また、2013年通年の実質GDP成長率は2.3%で、潜在成長率とされる3.5%を下回った。
【メキシコ 国立統計地理情報院】
2013年8月20日、2013年4~6月期実質国内総生産(GDP)は0.74%減となったと発表した。前期比マイナスは2009年4~6月期以来で、製造業の生産や内需が減速した。
【トルコ 統計局】
2013年12月10日、7-9月期の実質GDP成長率が4.4%だったと発表した。中間層の拡大が続き個人消費が5.1%増、民間投資が5.3%増だった。
【インド】
2013年5月30日、2013年度の実質GDP成長率は4.7%だったと発表した。官民の消費と投資を合わせた内需は2.2%増だった。GDP全体の60%を占める民間消費は、耐久消費財の販売が鈍化し4.8%増。企業の投資意欲の減退で、官民の設備投資を示す総固定資本形成は0.1%減となった。 インド中銀は、投資が増えれば雇用が生まれ、個人消費にも波及するとし、2014年度の成長率は5~6%を予測している。
2012年 | 2013年 | |
インドGDP | 4.5% | 4.7% |
【インドネシア 中央統計局】
2014年2月5日、2013年の実質GDP成長率が5.78%だったと発表した。企業の投資が中心の固定資本形成は4.7%。通年で8%を超えたインフレや政策金利の引き上げなどから企業が投資延期を拡大した。GDPの55%を占める家計消費は5.28%と横ばいを維持。輸出は5.3%増。また、インドネシアでは近年の活況を背景に投資が拡大し、2013年8月時点の民間対外債務は1352億ドル(約13兆3000億円)と3年間で60%増加している。債務の90%はドル建てとされており、ルピア安で財務状況が悪化する懸念がある。 政府・中銀は、これまで外需低迷の一方で強い国内景気が貿易収支を悪化させてきたことから、2014年の融資を引き締める方針。
【タイ 国家経済社会開発庁(NESDB)】
2014年2月17日、10-12月期の実質GDPを0.6%、年率換算で2.4%と発表した。輸出は米ドル換算で1%減。内需は10月末から続く政府でもが影響し、GDPの50%を占める民間消費が4.5%減。消費不振と政情不安で民間投資も13.1%減った。なお、2013年通年の実質GDPは2.9%だった。 2014年の見通しについては2013年11月時点の4~5%から3~4%に下方修正。NESDBは世界経済の復調とバーツ安で工業製品や農産品などの輸出が回復するほか、外国人観光客も過去最高だった2013年を3%上回る2750万人に達すると予測している。
【マレーシア 中央銀行バンク・ネガラ】
2014年2月12日、2013年のGDP成長率を4.7%と発表した。製造業などを中心に輸出が回復。4-6月期まで日米欧の需要減退で前年を下回っていたが、7-9月以降はプラスに転換。前年比2.4%増となった。また、民間消費は7.6%増と堅調に推移。政府による消費も6.3%増えた。物価上昇率は2.1%上昇。
【シンガポール 通産省(MTI)】
2014年2月20日、2013年通年の実質GDP成長率を速報値3.7%から改定値4.1%に上方修正した。年後半の外需回復を受けて輸送機器や電子機器など製造業が伸びた。
【フィリピン 統計庁】
2014年1月30日、2013年の実質GDPが7.2%伸びたと発表した。個人消費が牽引、首都圏などでサービス業が伸び、2013年11月の台風30号のマイナス面を補った。2014年のGDPは4%伸びると予想している。