英政府は2017年7月26日、2040年までにガソリン車やディーゼル車の販売を全面的に禁止すると発表。発表した措置は、排ガスによる都市部での深刻な大気汚染問題や地球温暖化に対応するのが狙いで、EVの普及を促すことで、国内での関連技術の開発を後押しする。地方自治体による排ガス抑制策を支援するため、2億5500万ポンド(約370億円)の予算を用意し大気汚染対策に計約30億ポンドを投じる。
オランダやノルウェーで25年以降のディーゼル車やガソリン車の販売禁止を検討する動きもある。ドイツでも30年までにガソリン車などの販売を禁止する決議が国会で採択された。こうした欧州動きに、インド政府も「30年までに販売する車をすべてEVにする」との目標を表明し、中国でも類似の政策が打ち出されている。
日本政府も30年までに新車販売に占めるEVやプラグインハイブリッド(PHV)などの割合を5~7割にする目標を掲げるが、従来型の燃料車向けの部品など多くの関連メーカーがあるだけに、大胆な政策変更をしにくい面もある。EVの普及によって、電力需要の伸びが予測され、電力の供給量確保がカギとなってくる。英国は風力などの再生可能エネルギーの比率を2割強に高め、石炭への依存を減らしているが、電力供給は綱渡り状態。原子力発電所の老朽化により、新規の原発を予定通り建設できなければ、20年代にも電力不足に陥るおそれがある。温暖化や大気汚染の対策と両立させながら電力需要拡大に対応するエネルギー政策が求められる。