大日本住友製薬は2017年6月26日、開発中の抗がん剤「ナパブカシン」の販売計画が大幅に遅れると発表。ナパブカシンは、がん幹細胞をピンポイントで攻撃する世界初の新薬候補として注目を集めており、比較的低コストで治療効果が期待できるとされているため、製薬各社や市場関係者が注視していた。大日本住友は胃がん患者を対象に日米で進めてきた最終段階の治験データの途中解析で、患者の生存期間の比較で既存薬などと比べ優れた延命効果が出る可能性が低いという勧告を評価組織から受けた。このため、大腸がんなど別の治験で承認申請を目指す方針に切り替え、当初2018年度としていた当局への販売申請は最短でも20年度までずれ込む見通しとなった。
大日本住友製薬は16年度に連結売上高の2割に相当する約800億円を研究開発費として投じており、17年度は850億円を予定している。ナパブカシンは年間売上高が1千億円を超える超大型薬「ブロックバスター」に成長する可能性があるとみられていたため、今回の失敗は同社にとって大きな痛手となった。
大日本住友 注目のがん新薬治験失敗で2年超の遅れ
項目 | 内容 |
対象 | 抗がん剤「ナパブカシン」の販売計画遅延 |
販売申請時期 | 2018年度→20年度 |