東芝は、2017年3月29日、米原子力語会社ウエスチングハウス(WH)で破産法を申請したと発表した。2017年3月期の純利益は9656億円の赤字となり、5529億円の債務超過に陥った。経営危機の起点となった海外原子力事業を連結から切り離し。半導体メモリ事業の売却が焦点となっている。半導体メモリ事業の売却で原発による損失の穴埋めを目指す。

半導体メモリの事業価値は1兆円~2兆円とみられている。

東芝は2017年3月期末時点で債務超過であったことから、上場市場が2017年8月1日に東証1部から2部に変わった。2018年3月末に債務超過を解消できないと上場廃止となる。また、売却先の決定後に控える各国の独占禁止法の審査には6~9ヶ月かかるとされている。

なお、東京証券取引所は、2016年12月に東芝株で投資家に注意を促す特設市場銘柄の指定期間を延長すると発表。公募増資を使った資本増強の道は事実上閉ざされている。主な取引銀行などの支援が必要な情勢となっている。


東芝メモリ 売却額はいくらになるか

2017年3月期 東芝メモリ事業価値
純利益 ▲9656億円 1兆円~2兆円
株主資本 ▲5529億円


米WD ICCに仲裁申立書を提出

東芝と半導体メモリ事業の協業先である米ウエスタンデジタル(WD)は、2017年5月14日、売却差し止めを求めて国際商業会議所(ICC)国際仲裁裁判所に仲裁申立書を提出した。ICCの裁定が出るまでには一定の時間がかかる見通しで、売却手続きが難航すれば、東芝の再建計画に影響が出る恐れがある。

WDは「東芝メモリの譲渡解消」「東芝のさらなる契約違反を禁止する旨の差し止め」を求めている。東芝は「合弁契約に抵触するような事実はなく、WD側が手続きを停める根拠はないと考えている」としている。


東芝の業績推移

  売上高 営業利益 純利益 株主資本 総資産 自己資本比率
2017年(予) 4兆9700億円 4300億円 2300億円 - - -
2016年 4兆8707億円 2707億円 ▲9656億円 ▲5529億円 4兆2695億円 ▲13%
2015年 5兆1548億円 ▲4830億円 ▲4600億円 3288億円 5兆4333億円 6.1%
2014年 6兆6558億円 1704億円 ▲378億円 1兆839億円 6兆3347億円 17.1%
2013年 6兆4897億円 2571億円 602億円 1兆271億円 6兆1725億円 16.6%

 

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