日東電工は、メディカル事業の売上高を2019年3月期に2015年3月期の2倍強の約500億円に引き上げる計画。日本経済新聞が報じた。核酸医薬品の受託製造が伸びており、2017年6月までに能力を数倍に高める。日東電工は、核酸医薬品の受託製造の世界シェアを約6割持つ。

核酸医薬品は、抗体医薬品に次ぐ新しい医薬品。病気の原因となる遺伝子の働きを抑えると共に副作用が少ないのが特徴。生産に手間がかかる抗体医薬品に比べ、化学合成で安価に生産できるという。がんの治療薬などとして研究開発が進む見通し。


日東電工の核酸医薬品関連の動き

【受託生産】
2015年3月から米国に加えて日本でも核酸医薬の生産受託を開始。2016年11月、米国2社を50億円で買収。最終加工や瓶詰めまで一貫生産できる体制を整え、供給までのスピードや効率を向上。米マサチューセッツ州にある生産ラインも2017年6月までに増強。投資額は数十億円とみられる。

内容
2017年6月 米国の生産ラインを増強
2016年11月 最終加工や瓶詰めまで一貫生産できる体制を整備
2015年3月 日本で受託生産開始


【肝硬変治療薬の開発】
日東電工は肝硬変治療薬を開発している。2013年6月より米国で実施した健常者への投与で高い安全性を確認。2015年からは米国や欧州で一般患者への投与を開始した。2015年11月には米食品医薬品局8FDA)から優先審査品目にも認定されている。肝硬変患者は世界で約600万人で、年間2万人が死亡しているとみられる。

日東電工は、2016年1月、米カリフォルニア州に創薬事業を専門とする新会社を設立。核酸医薬品などの研究や臨床試験を担う。2016年4月から事業を開始。2018年度の製品化を目指す。

内容
2018年 製品化
2016年1月 米カリフォルニア州に創薬事業専門の新会社設立
2015年11月 米FDAから優先審査品目に認定
2015年 米国や欧州で一般患者への投与を開始


【がん治療向け核酸医薬品開発】
がん治療向け核酸医薬品を開発。がん細胞を増殖させるリボ核酸の動きを止める「siRNA」と呼ぶ核酸医薬を独自開発。標的のがん細胞まで核酸医薬品を届ける膜も新たに開発した。2017年度中の臨床試験を目指す。

内容
2017年 臨床試験


日東電工の業績推移

  売上高 営業利益 当期利益 親会社の所有者に帰属する持分 資産 自己資本比率
2017年(予) 8000億円 1000億円 700億円 - - -
2016年 7677億円 925億円 534億円 5537億円 8798億円 74.3%
2015年 7930億円 1023億円 816億円 6144億円 8259億円 74.4%
2014年 8252億円 1067億円 778億円 6120億円 8554億円 74.5%
2013年 7495億円 725億円 518億円 5213億円 7835億円 66.5%

 

日東電工の銘柄診断