原油価格が下落している。2014年夏からの原油相場下落は、石油輸出国機構(OPEC)やシェールといった供給面の要因がきっかけだった。現在は、中国の景気減速による資源需要の減少懸念も意識されている。
原油 供給面の影響
【イラン】
米英独仏ロ中の6ヶ国とイランは、2015年7月14日、イラン核問題の包括的解決に向けて最終合意した。合意の履行確認後、原油輸出、金融取引などにかかっている対イラン制裁が停止・解除される見通し。
イランは経済制裁が強化される2011年以前の原油生産量は日量400万バレルとOPECで2位の産油国だったが、最近は300万バレル程度で推移している。イランは制裁解除に伴い原油が輸出しやすくなることで、2016年末までに1日あたり60万バレル程度の増産が予想されている。
2011年以前 | 2013年以降 | 2016年末 | |
イランの原油生産量 | 400万バレル | 300万バレル | 360万バレル |
【OPEC】
石油輸出国機構(OPEC)は2014年11月に原油市場の中長期的な需要予測をまとめ。OPEC産原油の需要が2014年の日量3000万バレルから2017年には2820万バレルまで落ち込むと予測している。米国など非加盟国の産出量増加が影響する。
2015年 | 2017年 | |
OPEC産 | 2920万バレル | 2820万バレル |
【IEA】
国際エネルギー機関(IEA)は2014年の世界エネルギー展望で世界の原油需要が2013年の日量約9000万バレルから2040年に1億400万バレルに膨らむと予測した。
米国の原油最大生産量は約600万~700万バレルとみられている。
2013年 | 2040年 | |
世界の原油需要 | 9000万バレル | 1億400万バレル |
【米ドル高で産油国の採算改善】
原油安が産油国通貨の下落・ドル高につながり、産油国の輸出採算が改善。原油の増産が進む。ロシアは通貨ルーブルが対ドルで大きく下げ、アジア向けに原油輸出を増やしている。