ベネズエラは輸出の96%%を石油に頼る産油国。原油価格均衡は130ドル以上、原油価格1ドル下落で7億ドル(約840億円)の損失が発生すると試算されている。2015年1-9月の経常収支は130億ドルの赤字に転落。歳入は70%減少したもよう。外貨準備は2008年末の431億ドルから2016年は155億ドル、2017年7月には一時100億ドル(約1兆1100億円)を割り込んだ。対外債務は1300億ドル(約14兆5000億円)に上るとみられる。

マドゥロ政権は、食料配給など国民向け予算を切り詰め、国債や国営石油会社の社債償還に原油収入を充てる。憲法改正で野党勢力を無力化し、外貨準備を切り崩しながら原油価格の上昇にかけるというシナリオを描いている。

一方、ベネズエラでは食糧不足で餓死者も出ている。周辺国に難民が流出し、国際問題にもなりつつある。


ベネズエラの原油関連情報

項目 内容
石油依存度 輸出の96%
原油価格均衡 130ドル以上
原油価格1ドル変動での財政への影響 7億ドル(約840億円)
外貨準備 100億ドル
対外債務 1300億ドル


ベネズエラの経済成長予測

国連ラテンアメリカ・カリブ経済委員会(ECLAC)は、ベネズエラの実質経済成長率を2015年はマイナス7.1%、2016年はマイナス7%と予測している。

  2015年 2016年
ベネズエラ ▲7.1% ▲7%


ベネズエラの財政再建策

ベネズエラは、2016年2月17日、財政再建策を発表した。通貨ボリバルを1ドル=6.3ボリバルから10ボリバルと約40%切り下げ。補助金で低く抑えてきたガソリン販売価格を1リットル=0.07ボリバルから1ボリバルと約14倍に引き上げる。

通貨ボリバルの切り下げにより、国営石油会社PDVSAのボリバル建ての石油輸出収入を増やす効果を見込む。ガソリン販売価格の引き上げで、年間8億ドル(約900億円)の節約につなげる。

項目 財政再建策 効果
通貨ボリバル 1ドル=6.3ボリバル→10ボリバル PDVSAの石油収入増
ガソリン価格 1リットル=0.07ボリバル→1ボリバル 年間8億ドルの節約


格付け

機関 格付け 分析
ムーディーズ Caa3 原油価格の下落でデフォルトリスクが高まっている
S&P CCC 2016年の経済成長はマイナス幅が拡大する恐れ


【ムーディーズ】
ムーディーズ・インベスターズ・サービスは、2015年1月13日、ベネズエラの格付けを2段階引き下げ「Caa3」とした。Caa3は21段階中下から3番目で、極めて信用力が低い状態を指す。原油価格の下落で財政に悪影響を与え、デフォルトリスクが高まっているとしている。


【S&P】
S&Pは、2015年2月9日、ベネズエラの長期信用格付けを「CCCプラス」から「CCC」に引き下げた。原油価格の下落や経済不均衡に政府が対応出来ていないとした。ベネズエラの経済成長については、2015年は7%減、2016年はマイナス幅がさらに拡大する恐れがあるとしている。


参考

・0.07ボリバル=約1円
・消費者物価指数 2015年9月に年率換算で141.5%
・ベネズエラの債務返済 2016年中に約95億ドル
・外貨準備 120億ドルに減少
・対外債務 1400億ドル(約14.5兆円)に増加
・国営石油会社PDVSAの社債償還期限 2017年4月に32億ドル、2017年11月に28.5億ドル
・2016年11月、2017年4月、2017年11月の社債償還分の約4割を2020年までの分割払いで投資家と合意