米英独仏ロ中の6ヶ国とイランは、2015年4月2日、イラン核問題の包括的解決に向けた枠組みで合意。2015年7月14日、最終合意した。イランは保有するウラン濃縮用の遠心分離機を3分の1に減らすなど10~15年間にわたり濃縮活動を制限する。国際原子力委員会(IAEA)が監視する。合意の履行確認後、原油輸出、金融取引などにかかっている対イラン制裁を停止・解除する。

制裁解除を受けて、イランの原油増産や企業のイラン進出などに期待される。


イラン核問題 主な合意内容

項目 内容
ウラン濃縮 遠心分離機の設置数を3分の1の6104基に減少し、10年間は5060基のみ稼動
15年以上3.67%を超えるウランを製造しない
核爆弾1個分の核物質の獲得期間を2~3ヶ月から1年以上に延長
経済制裁 履行確認後、米国と欧州連合は制裁停止。違反があれば復活
査察 IAEAはイランの全ての核関連施設に定期的に立ち入り


イランへの主な制裁内容

イランによる合意の履行確認後、米国や欧州などは原油輸出、金融取引などにかかっている対イラン制裁を停止・解除する。

国・期間 イランへの制裁内容
米国 イランと原油決済取引をする外国金融機関に米国内での取引を制限
イランとエネルギー関連の取引を行う外国企業に米国内での活動を制限
欧州 イラン系銀行の営業制限
イラン産原油の輸入禁止
国連 イランの金融機関に外国での支店開発を禁止
革命防衛隊関連組織などの資産凍結
イランへの武器禁輸


イランの原油生産推移

イランは経済制裁が強化される2011年以前の原油生産量が日量400万バレルとOPECで2位の産油国だったが、最近は300万バレル程度で推移している。イランは制裁解除に伴い原油が輸出しやすくなることで、2016年末までに1日当たり60万バレル程度の増産が予想されている。

  2011年以前 2013年
イランの原油生産量 400万バレル 300万バレル


参考

 ・イランの自動車生産は2014年に109万台。制裁解除で本格生産にシフトできる可能性がある。