シャープの財務改善策情報をまとめ。シャープは2015年3月期に太陽電池事業を減損処理。液晶事業でも生産設備の資産評価を見直し。2016年3月期には、希望退職による人員削減や北中米のテレビ事業撤退など構造改革を実施する見通しから、合理化費用として総額約4000億円を計上する方針。構造改革に耐えられる財務基盤を整える。


シャープの資本増強策

機関 調達額
産業革新機構 1000億円
みずほ銀行 2000億円
三菱東京UFJ銀行
第三者割当増資 300億円

【中小型液晶パネル部門を分社化】
官民ファンドの産業革新機構と出資交渉に入るもよう。2016年3月期中にスマートフォン向けなど中小型パネル部門を分社化して事業会社を設立。革新機構から1000億円規模の出資を受けたい考え。液晶の分社化では三重県亀山市などの主力工場のほか、営業や開発部門なども移す方針。


【銀行への資本支援要請】
みずほ銀行と三菱東京UFJ銀行の主力2行に2000億円の資本支援を要請。一部の債務を優先株などに振り返る「デット・エクイティ・スワップ」を軸に協議。デット・エクイティ・スワップは負債を圧縮するとともに、株主資本を増やす効果がある。再建が起動に乗れば、値上がり益や配当などが期待できる。

シャープはみずほ銀行と三菱東京UFJ銀行から約6000億円の融資を受けている。2000億円分を優先株に振り替え、両行がそれぞれ1000億円を出資する見通し。


【第三者割当増資】
第三者割当増資などで約300億円を募る方針。

 

 


構造改革検討内容

希望退職や複利厚生の見直しも含めて500億円規模の固定費を削減したい考え。

項目 内容
減資 資本金1200億円→5億円
人員削減 国内で2016年3月期に300億円の費用を計上
海外従業員の10%の2000人を削減
人件費削減 国内従業員の給与水準を1.5%引き下げ
太陽電池事業 減損処理
テレビ事業 北中米で撤退
社内カンパニー制 社内事業を5カンパニーに再編
本社ビル 本社ビルを2015年内に売却。賃貸ビルに移転

【減資】
1200億円以上ある資本金を5億円に減らし、累積損失を解消するもよう。減資は資本金を使って過去から累積された赤字を処理する手続き。2015年6月下旬の株主総会で決議する予定。
 

【人員削減】
2016年3月期に国内従業員を対象に希望退職を募集する方針。国内従業員の約10%の3500人規模になる見通し。退職金の積み増しなどで、約300億円の経費を計上する予定。また、海外でも人員削減を検討。海外従業員の10%程度の2000人規模になる見通し。


【国内工場の閉鎖】
発光ダイオード(LED)を生産する三原工場を閉鎖。スマートフォン向けセンサー部品などを生産する福山第1~3工場を閉鎖し、第4工場に集約する方針。


【太陽電池事業】
2015年3月期に減損処理。2020年まで割高な調達価格で契約している太陽電池素材シリコンの損失を引き当てる方針。


【テレビ事業】
北米やオーストラリアなどから撤退。メキシコ工場は売却か閉鎖。主力のテレビ組立工場である栃木工場での生産撤退を視野。マレーシアと中国のテレビ組立工場の売却も検討する。 


【社内カンパニー制】
2015年中に社内事業を家電、複写機・ロボット、エネルギー、液晶、デバイスの5カンパニーに再編。各カンパニーに権限と責任を付与。分社化を容易にし、他社との戦略提携をしやすくする。