東レの炭素繊維事業関連情報まとめ。東レは、2014年11月17日、米ボーイングと新型「777X」向けに炭素繊維複合材を供給することで合意。2005年11月締結の「787」への供給契約と「777X」を供給対象に含めた契約期間を10年延長。供給総額は1兆円を超える見込み。

自動車ではトヨタ自動車が2014年12月に発売する燃料電池車「MIRAI」に炭素繊維が採用。自動車のフロア部分に相当する「スタックフレーム」、燃料電池スタックの電極機材用カーボンペーパー、水素タンク用強度炭素繊維の3つに採用された。


ボーイング向け

供給総額 航空機 内容 採用
1兆円 777X 2020年に初号機納入 主翼材料
787 月産14年10機→16年12機→19年14機 主翼・胴体など1次構造部材

【投資】

場所 建設 投資額 内容 稼動
米ワシントン州 増設 50~60億円 月産12機に対応 2016年1月
米サウスカロライナ州 新設 1000億円 年8000トン 2017年


自動車向け

投資額 対象 時期
300億円 BMWに炭素繊維供給 15年
50億円 伊炭素繊維シート事業 15年9月
20億円 15年1月

【BMW】
BMWに炭素繊維を供給。2015年中に契約締結見通し。300億円を投資し、メキシコ工場の生産能力を倍増する。


【炭施繊維シート事業】
炭素繊維シートとは、炭素繊維を織物状にしたもので、自動車部品などに加工して使う。欧州では炭素繊維と炭素繊維部品を製造。中間工程といえるシートの製造拠点の買収で、一貫した自社サプライチェーンを確立する。

東レは2015年9月に伊デルタテックの株式55%を50億円で取得。2014年12月に伊Saatiから炭素繊維シート事業を20億円で取得した。


炭素繊維事業者の自動車への導入 

企業 自動車メーカー 内容
東レ BMW 炭素繊維の供給開始へ
トヨタ自動車 14年12月発売の燃料電池車「MIRAI」に採用
帝人 GM 自動車部品向け炭素繊維工場を15年度に稼動
15年以降の量産車に採用
三菱レイヨン BMW 13年からBMWの電気自動車向け炭素繊維原料を生産
BMWは炭素繊維生産能力増強に200億円投資


炭素繊維市場 

炭素繊維の世界需要は2014年4万8000トン。今後も年率20%の成長が見込まれる。

  2014年
世界需要 4万8000トン
東レの生産能力 2万3600トン


業績 

  売上高 経常利益 純利益 純資産 総資産 自己資本比率
2015年(予) 2兆2500億円 1500億円 870億円 - - -
2014年 2兆107億円 1285億円 710億円 1兆807億円 2兆3579億円 41.8%
2013年 1兆8377億円 1106億円 596億円 9446億円 2兆1196億円 40.5%
2012年 1兆5922億円 882億円 484億円 7796億円 1兆7318億円 51.9%
2011年 1兆5886億円 1098億円 642億円 6741億円 1兆5815億円 39.7%
2010年 1兆5396億円 988億円 579億円 6409億円 1兆5674億円 37.8%

【炭素繊維事業】

  売上高 営業利益 営業利益率
2014年 1587億円 262億円 16.5%
2013年 1136億円 169億円 14.8%
2012年 782億円 72億円 9.2%
2011年 705億円 76億円 10.7%

 ※炭素繊維の売上高比率 航空宇宙50% スポーツ10% 一般産業40%