日本経済新聞によると、政府は民間企業や大学と組み、カタールに再生医療を提供する施設を作るようだ。大阪大学が研究している「心筋シート」と呼ばれる再生医療を輸出する。心臓から血液を送り出す機能が弱まった患者の太ももから特殊な細胞を培養し、シート上に貼って心臓の力を取り戻すもので、2014年度から治療を始めるとしている。 現地の医療施設には細胞の培養や保存に使う機材に加え、空気中のちりや細菌を取り除くクリーンルームなどの設備も日本から輸出するようだ。 {大阪大学の心筋シート研究} 大阪大学では患者の足の筋肉の一部から作ったシートを心臓へ貼り付ける治療法の開発が進んでいる。2013年4月18日に重い心筋症の子供にこの治療を使う臨床研究が厚労省によって承認されている。 重症の心不全では75%の人が1年以内に死亡するとされている。現在の重症心不全の治療法は、補助人工心臓の植え込みと心臓移植が主だが、人工心臓でも何十年も使える耐久性がなく、最終的に心臓移植が必要となるケースが多い。しかしながら、心臓移植に必要な臓器が全く足りない状況になっている。 そこで大阪大学では人のiPS細胞から心臓の筋肉(心筋)シートを作り、心臓に貼り付け、重症の心不全を治す研究を進めると共に、患者の足の筋肉の一部から作ったシートを心臓へ貼り付ける治療法の開発も進められている。 なお、iPS細胞を使った心筋の臨床研究開始時期は2016年から2018年が見込まれている。
 作製する細胞  機関  対象疾患  臨床研究の開発時期
 心筋  大阪大学  心筋梗塞  2016~2018年