大阪大学では、患者の足の筋肉の一部から作ったシートを心臓へ貼り付ける治療法の開発が進められており、2013年4月18日に、重い心筋症の子供にこの治療を使う臨床研究が、厚労省によって承認されたとしている。 重症の心不全となれば、75%の人が1年以内に死亡するとされている。現在の重症心不全の治療法は、補助人工心臓の植え込みと心臓移植が主。人工心臓は年々性能が上がっているが、何十年も使える耐久性がなく、最終的には心臓移植が必要となるケースも多い。しかしながら、日本では心臓移植が必要な患者は1000人以上いるとされるが、脳死での臓器提供は年間20~30例にとどまっており、全く足りない状況になっている。

そこで、大阪大学では人のiPS細胞から心臓の筋肉(心筋)のシートを作り、心臓に貼り付け、重症の心不全を治す研究を進めると共に、患者の足の筋肉の一部から作ったシートを心臓へ貼り付ける治療法の開発も進められている。 ただし、この治療法は十分な治療効果が見られない場合もある。このシートは心筋そのものではなく、弱った心筋を活性化させるもののため、心筋が既に壊死してしまっている場合には効果がないからだ。 一方、iPS細胞で作ったシートは心筋に近いので、足の筋肉シートでは効果が無いような患者にも使える可能性があるという。